消防の人間関係はきつい?理不尽な先輩に言い返した日の話

夜の病院の搬入口で救急車の資機材を片付ける若い隊員と、腕組みをして立つ年長の男性のイラスト 消防士のリアル

💡 この記事でわかること

  • 消防署で実際に起きた「小さな理不尽」の一部始終
  • 体育会系が多い職場で、なめられないことがなぜ大事なのか
  • 理不尽に対してアクションを起こすと、何が変わるのか
  • プレショックとは何か(血圧が下がる前の段階)

今回は「消防士にはこんな先輩がいる」というテーマで、元消防士として本音で書いていきたいと思います。

僕は5年半、消防士として勤めたあと、今はトラックドライバーをしています。

これから書くのは、消防署で一番ムカついた日の話です。

消防署にいた理不尽な先輩|PA連携の救急で何もしなかった日

消防署には、こんな先輩がいました

10年目くらいの、救助担当の先輩でした。

バリバリやっている人です。救助大会にも出ていました。言うことが意識高い。 ムードメーカーみたいな存在で、話も面白い。

ただ、言っていることがずれていることがあって、上司から叱られている場面を何度も見ました。

後輩に対しては、昔の体育会系のノリです。威圧的というほどではないし、基本は気にかけてくれる優しさもある。ただ、口調が強い。

後輩の扱い方、使い方。そこがよく問題視される人でした。

そして、体重が100キロほどあって、体も私生活もだらしない人でした。

正直、嫌いではなかった

先に書いておくと、僕はその人が好きでも嫌いでもありませんでした。

憎めないキャラではあったんです。普段の会話は面白いし、だから周りからもそこまで嫌われてはいなかったと思います。

仕事ができないわけでもない。

ただ、やりたくないことを、本当にやらない。 それを後輩に押し付ける。それが積み重なっていました。

その日はPA連携の救急|プレショックの事案

僕がいたのは田舎の消防です。だから救急も順繰りで回ってきます。

僕は警防担当と救助を掛け持ちしていましたが、救急隊として出ることも普通にありました。 規模がそれほど大きくない本部なら、当たり前のことだと思います。

その日はPA連携でした。住宅からの要請です。

事案は少し重篤で、プレショックの状態でした。

プレショックとは?ショックに移行する前の段階

プレショックは、ショックに移行する前の段階を指します。

体の代償機構がまだ有効に働いていて、血圧が下がる前の状態です。だから血圧の数字だけ見ていると見落とします。

冷汗が出ている。苦痛に顔が歪んでいる。なんとなくぼんやりしている。そういう重症を示唆するサインが出ます。

バイタルが明らかに崩れてから動くのでは遅い。崩れる前のこの段階でショック徴候をつかむことが大事だとされています。

4人目で乗ってきた先輩が、何もしなかった

PA連携では、本隊から4人目として一人が救急車に乗ってきます。

その日の4人目が、さっきの先輩でした。

僕は当時4年目。救急隊員として乗務していました。救急隊長も、隊長として何年もやっているわけではない人でした。

そして、プレショックの判断で搬送に入ります。

その判断が気に食わなかったのかもしれません。先輩は、ずっと不機嫌でした。

そして、何もしないんです。

聴取もしない。処置もしない。全部、僕がやっていました。

たぶん、訓練を中断されたのが嫌だった

あとから考えると、理由は想像がつきます。

たぶん、訓練の途中で指令が鳴ったんです。

訓練を切り上げて戻って、自分のやりたいことをやりたかった。そこに救急が入った。それで機嫌が悪かったんだろうと思います。

その人、仕事に対してやる気がないわけではないんです。やる気はある。 ただ、そういうところがありました。

僕はもうその時点で、あまり信用していませんでした。自分がやればいいやと思ってやっていました。

病院で重なった4つの「プチ」理不尽

病院に着いても、その人だけいなかった

無事に病院に着いて、医師に引き継ぎをして、救急病棟のベッドに移し替えました。それで事案は終わりです。

ストレッチャーの操作は基本2人です。僕と、一つ上の機関員の先輩の2人で運びました。

酸素も入っていますし、処置もしているので、普通は4人目もついてくるはずなんです。

でも、いませんでした。

そのときは気づかなかったのですが、隊長が引き継ぎをしながら、酸素の取り回しも片付けも一緒にやってくれていました。

救急隊に飲み物をくれる病院もあります

病院によっては、救急隊をねぎらってくれるところがあります。

「飲み物、持っていっていいですよ」 と言ってくれる、優しい病院です。

いつも「ありがとうございます」と思いながら、いただいていました。

その日も、僕が一番下だったので、「じゃあ僕、飲み物とか持っていきますよ」 と言って、取りに行きました。

1つ目のプチ|救急車の中にいた

戻ってきて、先輩がいない。

トイレかなと思ったら、救急車の中にいました。

「なんで中にいるんだろう」と思いました。

ここで、1つ目のプチが来ました。

まあ、隊長に何か言われてそうしたのかもしれない。そう思って飲み込みました。

2つ目のプチ|車内がぐちゃぐちゃ

飲み物とお菓子を持って救急車に戻ったら、車内がぐちゃぐちゃでした。

ずっと中にいたのに、片付けていない。

なんで片付けてないの。

2つ目のプチです。

3つ目のプチ|「あれ持ってこい」

飲み物とお菓子を渡しました。

そうしたら、渡した飲み物が気に食わなかったらしく、

「いや、あれ持ってこい」

3つ目のプチです。もう沸点スレスレでした。

それでも、先輩の言うことなので取りに行きました。

4つ目|「これじゃない。使えねえな」

取ってきて、渡しました。

「あれ、これじゃない」

「これじゃねえよ」

「使えねえな」

4つ目で、越えました。

「黙っといてください」と言い返した日

「今片付けるんで、黙っといてください」

そこから僕は、片付けを始めました。

正直に書くと、このとき片付けが雑になりました。 資機材の扱いが雑になった。そこは僕が悪かったです。

先輩が言いました。

「お前、資機材の扱い方雑だろ」

自分は何もしていないのに。何もしないから僕が仕方なく片付けているのに。

病院の善意を受け取ろうとして、後輩に「違うもん持ってこい」と言って、持ってきたものが違うと言う。 そのうえで、それです。

僕は返しました。

「いやいや、今片付けるんで黙っといてください」

そうしたら、黙りました。

帰りの20分、誰も喋らなかった

そこから、誰も喋らなくなりました。

機関員の先輩は、僕がすごくお世話になっていた、好きな先輩です。その人も空気を読んで黙っていました。

救急隊長が引き継ぎを終えて戻ってきて、救急車の扉を開けた瞬間、その空気を察したんだと思います。何も言わずに助手席に乗りました。

普段は、救急が終わると帰りにフィードバックをします。振り返りをしたり、雑談をしたり。

その日は、葬式みたいでした。

署まで20分。20分、誰も何も喋らない。

僕はずっとイライラしていました。正直に言うと、次に何か言われたら殴りかかっていたかもしれないくらいの雰囲気でした。

1ヶ月、口をきかなかった。謝ってもいない

そこから1ヶ月ほど、まともに喋りませんでした。

そして、僕は謝っていません。

資機材を雑に扱ったのは悪かったと思っています。でも、それとこれとは別です。それ以外のことについては、僕は何も悪くないと思っています。

自分のことを棚に上げて、人のことを言う。 典型的なパターンでした。

「その原因を作ったのはお前だよ」。そうツッコミたかったのですが、当時の僕には言い返す能力がなかった。だから、ああいう言い方になりました。

消防の人間関係で「なめられない」ことが大事な理由

小さな理不尽は、消防に普通にある

これは小さな理不尽だと思います。

そして、こういうことは消防に普通にあります。よくあることだと思います。

フレンドリーだと思っていたら、こういう理不尽が出てくる。かと思えば、すごく気にかけてくれる。そういう先輩がいます。

どこの会社でもあることだとは思います。ただ、消防は特に体育会系が多い。

後輩に強く言えば、なんとかやってくれるだろう。 そういう雰囲気は、確かにありました。

一般企業より、そういう考えの人が多い可能性は高いと思います。これから消防に入る方は、頭に入れておくといいと思います。

消防で「なめられない」ことが大事な理由

ここから、僕が伝えたいことです。

なめられないこと。 これはすごく大事です。

ただ、なめられない状態をどう作るのかは、難しい問題です。体格。普段の言動。雰囲気。

そして、仕事ができるかどうか。

仕事ができない状態だと、自信が形成されません。自信がないことは、外から見て分かります。

そして、自信がなさそうな人間に対して、要求はエスカレートします。 度を超えた要求が来るようになります。

理不尽には、アクションを起こした方がいい

これが、一番伝えたいことです。

理不尽が限界に来たときは、アクションを起こした方がいいです。

どんな形でもいい。言い負かされてもいいと思います。

アクションを起こさないと、ずっとそのままです。

人間関係を円滑にするために、角が立たないようにコミュニケーションを取る。それはもちろん大事です。ただ、理不尽に対しては別だと思っています。

僕は、あのとき反抗してよかったと思っています。

反抗したから、言われなくなりました。

そして、周りにも伝わります。「こいつは、そういうことがあれば反抗するんだ」 と分かってもらえる。そうすると、お互いに気を使うようになって、結果的にコミュニケーションが取りやすくなります。

過剰な要求や理不尽は、やる側にはメリットがあるかもしれません。でも、やられた側には嫌な思いが残る。取りに行き直した時間も無駄になる。気持ちの面でもデメリットしか生みません。

気遣いがお互いにある方が、双方にとってメリットが大きいはずです。

気に入らなくても、ちゃんと活動してくれれば、僕は何も文句はなかったんです。

4人目にやることがなかったわけでもありません。酸素を投入し、携帯酸素を携帯していました。 やることはあったんです。

隊長に、後から言われたこと

そのあと、隊長に言われました。正確な言葉は覚えていませんが、こういうニュアンスでした。

「お前は、感情がない人間だと思ってた」

「嫌なことがあっても『はいはい』と言ってやるし、自己主張がない人間だと思ってた」

「でも今回、言い返した。違う一面が見れたし、ちゃんと自分の芯があるんだなと思った。それが見れて、俺は良かった」

これは、正直うれしかったです。

自分の芯を持つこと。芯を通すこと。 それは大事なんだと思います。

「それは違うだろう」ということは、口に出して言うべきだと思います。逆に、言わなくていいことは言わなくていい。その線引きが、コミュニケーションの一番難しいところですが。

人は変えられない。自分発信で伝えるしかない

改めて思ったのは、これです。

人は変えられない。人に期待してもダメ。

だから、自分発信で「嫌なものは嫌だ」と伝えないといけない。

嫌なことに対して嫌と言える環境。それがどれだけ大事か、辞めてから分かりました。

そして今、トラックドライバーをやっていて思うのは、このストレスがないということです。

人間関係で気を使わなくていい。そこのストレスがないというのは、本当にいいところです。

僕が今の仕事をしているのは、そこにつながっています。

人間関係も、本部ごとに違います

最後に書いておきます。

ここまで書いたのは、僕がいた一つの本部での話です。

どんな人がいるか。上下関係がどれくらい厳しいか。理不尽がどれだけ飛んでくるか。本部が変われば、まったく変わります。

ただ、それは実名を出さないと意味のない話です。無料の記事で書けることではないので、有料の記事にまとめました。

元消防士として、実名で書いています。

▼受けるなら、ここだと思う5本部

愛知県で本当に受けるべき消防本部、元消防士が実名で5つ選びました

▼逆に、僕ならすすめない5本部

愛知県で受けない方がいい消防本部、元消防士が実名で5つ書きました

▼パワハラの話は、こちらに書きました

あの頃はグレーで済んでいました。今なら、完全にアウトだと思います

▼救急車を運転する側の話は、こちらです

赤信号を突っ切ってくる救急車は、正直に言って危ないです

コミュ障をどうやって克服したかは、有料の記事にまとめました

無線で足手まといだった僕が、どうやって話せるようになったのか。練習のやり方と練習相手、無線で応答できるようになるまで、今でも苦手なことまで書いています。

▼コミュ障を克服する方法(note・有料)

コミュ障を克服する方法。若手消防士と若手社会人に向けて、元消防士が本音で書きました

よくある質問

Q1. 消防の人間関係は厳しいですか?

どこの会社でもあることだとは思いますが、消防は特に体育会系が多いです。「後輩に強く言えば、なんとかやってくれるだろう」という雰囲気は確かにありました。一般企業より、そういう考えの人が多い可能性は高いと思います。

Q2. 理不尽な先輩にはどう対応すればいいですか?

限界まで来たら、アクションを起こした方がいいと思っています。言い負かされてもかまいません。何もしなければずっとそのままです。僕は一度言い返したことで、言われなくなりました。

Q3. プレショックとは何ですか?

ショックに移行する前の段階です。代償機構がまだ働いていて、血圧が下がる前の状態を指します。冷汗、苦痛に歪む顔、ぼんやりしているといった重症を示唆するサインが出ます。数字が崩れる前に気づくことが大事だとされています。

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最後まで読んでいただきありがとうございました。

元消防士のトラックドライバー🧑‍🚒🚚

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