消防士は本当に楽な仕事か。休みは多いが1日は濃い

消防士のリアル

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💡 この記事のポイント

  • 「楽そう」に見えるのは、休みの日数が多いから
  • ただし非番は休みではない。招集も行事も入る
  • 休みが多い分、24時間の中身がぎゅっと詰まっている
  • 給料は「働く時間の割には多い」が「命をかける割には安い」

今回は「消防ほど楽な仕事はなかった」というメッセージについて、元消防士として本音で書いていきたいと思います。

送ってくださったのは、50歳の方でした。35歳のときに消防司令補、年収は1000万。50歳でやりたいことができて転職された、という内容でした。

僕は5年半、消防士として勤めたあと、今はトラックドライバーをしています。

結論から書きます。僕は、楽ではないと思っています。

ただし、そう感じた理由も、この方が特別である理由も、はっきりしています。順番に書いていきます。

まず、この方は間違いなく優秀です

これは皮肉でもなんでもなく、本気で書いています。

35歳で消防司令補。 これがどれだけのことか、消防にいた人間なら分かると思います。

僕がいたのは田舎の消防でした。田舎は基本的に年功序列で、そんなに努力しなくても年数で階級が上がっていきます。今でもそうだと思います。

でも東京は違います。司令補くらいまでは年数で行けるとしても、そこから上は試験です。それを35歳で通っている。

しかも、50歳でやりたいことを見つけて、実際に辞めて挑戦している。あの年齢でその一歩を踏み出せる胆力は、そう誰にでもあるものではありません。

優秀な人からは、仕事が楽に見えます。 周りと比べて、できてしまうからです。だからこの方が「楽だった」と感じたこと自体は、なんの不思議もありません。

なぜ「楽」に感じるのか。休みが多いからです

そのうえで、多くの人が消防を「楽そう」と感じる理由を、僕なりに考えてみました。

答えははっきりしています。休みが、とにかく多く感じるんです。

消防は24時間勤務です。勤務が明けた日は「非番」になります。1日行って2日休み、あるいは1日行って1日休み。2交代でも3交代でも、休みの日数自体は同じになります。

1日働いて2日休める。僕自身、勤めていたころは「休みが多いな」と本気で感じていました。

ただし、その休みは、休みではありません

ここが誤解されやすいところです。非番は、休みではありません。

災害が起きて署の人員が足りなければ、招集がかかります。非番の日に行事が入ることもあります。防災訓練、普通救命講習。そういうものに出張していきます。

だから、カレンダー上の休みの数と、実際に休めている日数は、同じではありません。

1日の中身は、かなり濃い

そして、ここが一番大事なところです。

休みが多い分、1日の中に業務がぎゅっと詰まっています。

訓練があります。地水利調査があります。消防設備の点検もあります。

救急隊に乗れば、1日10件以上というのはざらです。高齢化社会なので、搬送のほとんどが高齢者の方になります。高齢者は体調が急変するリスクが高いので、救急件数が増えるのはもう仕方のないことだと思っています。

夜も、終わりません

夜になれば、出動の報告書があります。

事務処理は本当に種類が多くて、一言では説明できません。関係機関とのやりとり、合同訓練の打ち合わせ、公的な手続き。新人ならそこに雑務が乗ります。

それを一通り終わらせて、ようやく仮眠です。そして仮眠中にも、出動があります。

朝になれば、消防車の洗車、車両の拭き上げ、国旗掲揚、大掃除。勤務報告書も朝のうちに作ります。夜に出動があれば、その報告書も残っています。

勤務時間が終わっても書類作成が終わらず、残業して報告書を書いて帰る日もありました。

24時間が、かなり濃いんです。

これは消防あるあるなんですが

一つだけ、あるあるを書かせてください。

夜間の出動がない日、というのがたまにあります。

そういう日、誰も「今日、出動ないですね」とは言いません。

言った瞬間に指令が鳴る、というジンクスがあるからです。だから、みんな分かっているのに、その話題には触れない。あの独特の空気感は、消防にいた人ならきっと分かると思います。

給料について、正直に思うこと

給料の話も書いておきます。

働いている時間の割には、多いと思います。 これは正直にそう思います。

ただ、命をかけている割には、安いとも思います。

どちらも本音です。矛盾しているようですが、この2つは両立します。

僕が最初に苦しんだのは、そのギャップでした

休みが多い。でも1日が濃い。僕が最初にきつかったのは、この落差でした。

休みが多いからこそ、仕事に行く日とのギャップが大きくなる。仕事に行くのが嫌だなと思う気持ちが、正直ありました。

これは能力の問題というより、リズムの問題だったと思います。

「楽そう」と「楽」は、何が違うのか

ここからは、ブログだからこそ書き足しておきます。

ここまで読んで、こう思った方がいるかもしれません。「結局、楽なのか楽じゃないのか、どっちなんだ」と。

整理すると、こうなります。

つまり「楽そう」に見えるのはカレンダーを見ているからで、「楽ではない」と感じるのは1日の中身を知っているからです。同じ仕事を、違う軸で見ているだけなんです。

だから、メッセージをくださった方と僕の意見が食い違うのも、当然だと思っています。優秀な人ほど密度の負荷を感じにくいので、なおさら見え方が変わります。

これから目指す方は、カレンダーではなく1日の中身で判断してください。 それが、入ってからのギャップをいちばん減らす方法だと思います。

転職して楽になったのは、人間関係だけです

今トラックドライバーをしていて、楽になったと感じることが一つだけあります。人間関係です。

気を使わなくなりました。それだけで、時間が過ぎるのが早くなりました。気持ちに余裕ができて、やりたいことができて、得意も活かせている。

時間が過ぎるのが早いということは、無理をしていない働き方なんだと思います。

ただ、今の仕事が楽かというと、それも違います。1日の歩数を測ったら3万歩を超えていた日もあります。体力的にきついと思う場面はしょっちゅうあります。

人間関係が楽なだけで、これだけ違う。 それが今の実感です。

「楽だから」で目指すのは、やめたほうがいい

最後に、これから消防を目指す方へ書いておきます。

消防は楽だと思って入ると、痛い目を見ます。

もちろん、楽な日はあります。出動がなくて、訓練もそれほどやらない署もあると思います。田舎ならなおさらです。そういう日は確かに楽です。

でも、それは日によるという話であって、仕事全体の話ではありません。

そして、これは僕自身への反省でもあります。僕も「休みが多いから」という理由で消防を目指した人間です。 だからこそ、その動機で目指すのは違うと今は思っています。

人命救助に携わりたくて入ってくる人とは、そもそも心持ちが違います。そしてその違いは、面接官には透けて見えます。

否定はしません。動機は自由です。ただ、現実はそんなに甘くない。それだけは伝えておきたいと思いました。

最後に

メッセージをくださった方へ。

50歳まで消防に勤めて地域に貢献されたこと、そのうえで挑戦して、実際に確かめにいったこと。本当にすごいことだと思います。

そして、僕自身も消防にはいいところがたくさんあったと思っています。休みは多いですし、異動がなければ1年間シフト通りに予定が組める。予定の立てやすさは、今振り返っても大きな魅力でした。

そのうえで、あらためて答えます。

「消防ほど楽な仕事はなかった」

大半の消防士にとっては、楽ではないと思います。 あなたが優秀だったんです。それが僕の答えです。

よくある質問

Q. 消防士は本当に休みが多いのですか?
A. 出勤日数で見れば多いです。1日勤務して1日から2日休みというサイクルになります。ただし非番の日は招集がかかることがありますし、防災訓練や普通救命講習といった行事も入ります。カレンダー上の休みと、実際に休める日数は違います。

Q. 24時間勤務の中身は、どんな感じですか?
A. 訓練、地水利調査、消防設備の点検、救急出動。救急隊なら1日10件以上も珍しくありません。夜は出動報告書などの事務処理があり、それを終えてようやく仮眠。朝は洗車、国旗掲揚、大掃除、勤務報告書。かなり濃い1日です。

Q. 給料は仕事内容に見合っていますか?
A. 働いている時間の割には多いと思います。ただ、命をかけている割には安いとも思います。この2つは矛盾しているようで両立します。どちらの軸で見るかで、感じ方が変わります。

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