🔥 こんな人に読んでほしい
- 消防士の仕事が実際どれくらいきついのか知りたい人
- これから消防士を目指す、または消防学校を控えている人
- いま現場で「しんどいのは自分だけか」と感じている人
今回は「消防士時代に、本当にきつかったこと」というテーマで、元消防士として本音で書いていきたいと思います。
僕は5年半、消防士として勤めたあと、今はトラックドライバーをしています。
きつかったことは数え切れないほどありますが、今でもはっきり体で覚えているものが4つあります。順番に書いていきます。
1つ目。夜間の救急が、トップレベルにきつかった
まずはこれです。夜間の救急。
新人から2〜3年目のころ、救急課程を終えて、救急隊として配属されることが多くなりました。救急隊なので、夜間は早めに寝させてもらえることが多かったんです。
ただ、とにかく出動が多かった。
僕がいたのは田舎の消防でしたが、本部や分署が少ない地域だったので、一つの隊がかなり広い範囲をカバーしていました。だから、事案がどんどん入ってくるんです。
布団に入って十分、また指令が鳴る
あの日のことは、今でもはっきり覚えています。
まず夜に1回出動する。それが終わった直後に、また指令が鳴る。2件も出動すれば、それなりの時間になります。
帰ってきて、もう1回。ようやく終わったと思って布団に入り、十分ほどもぞもぞして、「あ、もうすぐ寝られそうだな」と思ったところで、また出動。
その事案を終わらせて、救急車で帰っている最中に、また指令。帰署の途中から、そのまま次の現場へ向かうんです。
戻ってきたときには、もうクタクタでした。すぐに寝たい。でも、出動が重なると神経が高ぶってしまって、逆に寝られなくなるんですよね。
3時か4時ごろ、ようやく布団に入る。そこでまた、救急の指令が鳴る。
4時から出動して、帰ってくると、もう朝方です。6時前か、6時過ぎだったと思います。そして帰署の途中で、また指令。
もう、ほぼ徹夜です。
帰りの救急車で、意識が飛ぶ
徹夜自体は、経験がある方も多いと思います。飲んで遊んで朝を迎える、みたいな。
でも、勤務での徹夜は、まったく別物です。責任が伴うからです。
ただでさえ出動は体力を使います。その状態で徹夜しながら出動を重ねると、体力の消耗が本当にすさまじい。
だから、寝てしまうんです。帰署の途中、ふっと一息ついた瞬間、もう意識がない。ブラックアウトしているくらいです。救急車の揺れでバッと起きて、「あ、今、寝てたんだ」となる。
そのままウトウトしながら署に帰って、また指令が鳴る。そこでもう一度、スイッチを切り替えていく。
あれは、本当にきつかったです。
ちなみに僕は隊員だったので、まだよかったほうです。あのとき機関員をやっていた方は、もっときつかったはずだと思います。
「これがずっと続くなら、すぐ辞めよう」と思った
最後の出動は、8時台でした。本来なら交代が済んでいない時間帯です。ただ、そこはさすがに他の隊が出動してくれて、事なきを得ました。
帰ってからは、もう爆睡です。夕方まで起きませんでした。
幸い3交代制だったので、翌日は休みでした。そこで命拾いした形です。それでも、徹夜で出動すると、非番の1日が完全に潰れます。 何もできない。ただ寝るだけです。
正直に言うと、あのときこう思いました。
こんなにきつい仕事があるのか。これがずっと続くなら、すぐに辞めよう。
給料と、この頑張りが合っていない。そう感じたのは、あのときが一番でした。
ただ、幸いにして徹夜の出動は、2〜3年目を境にほぼなくなりました。仮眠1時間で出動しっぱなし、というのはその後もありましたが、あそこまでのことは起きなくなった。
理由は、署として対策を取るようになったからです。機関員を順繰りに回していく体制にしたんです。消防本部によっては、救急隊も機関員も関係なくやっていくところが多いと思います。でも、係の中で回していく仕組みをつくるだけで、負担はかなり変わります。
「きつさ」は、消防本部の体制でかなり変わる
ここからは、ブログだからこそ書き足しておきます。いま読み返して、いちばん伝えるべきだと思った部分です。
徹夜の出動が2〜3年目を境に減ったのは、僕が慣れたからでも、体力がついたからでもありません。署が仕組みを変えたからです。
つまり、ここに書いた4つのきつさのうち、いくつかは個人の根性ではなく、組織の設計で軽くできるということです。
- 機関員を順繰りに回す。一人に運転が偏らないだけで、隊全体の消耗がまったく違います
- 訓練中の休憩を制度として組み込む。「気合で乗り切る」を前提にしない
- 残火処理の筒先を交代で持つ。若手に固定しない
これから消防士を目指す方に伝えたいのは、説明会や面接で「勤務体制」を具体的に聞いてみてほしいということです。仮眠がどう確保されているか、機関員をどう回しているか。同じ消防士でも、ここで日々のきつさが変わります。
そして現役の方へ。もし今きついなら、それはあなたの根性が足りないからではない可能性があります。 仕組みの問題なら、仕組みで直せます。声を上げる先については、下の関連記事に書きました。
2つ目。真夏の消防活動訓練
2つ目は、真夏の消防活動訓練です。これも本当にきつい。
真夏は気温が40度近くまで上がります。消防士は、出動がない日中に訓練をしたり、事務作業をしたり、地水利調査や査察をしたりします。
訓練は、災害出動で事案をきちんと完結させるために、絶対にやらなければいけないものです。そして火災は、いつ何時起きてもおかしくない。日中だろうが朝方だろうが関係ありません。
だから、真夏に訓練しないといけない日が、必ず出てくるんです。「今日は午後から消防活動訓練を一発やるぞ」と。
防火衣と呼吸器で、プラス20キロ
なぜあれほどきついのか。装備の重さです。
防火衣だけで10キロほど。 そこに空気呼吸器を背負うと、合わせてプラス20キロほどの負荷がかかります。
さらに面体を着装すると、空気が吸いにくくなる。すると心拍数がどんどん上がっていく。心拍が上がれば、体力はどんどん削られていきます。それが常に起きている状態なんです。
だから、きつくないはずがない。真夏の消防活動訓練が楽だという人は、まずいないと思います。
ちなみに僕は後期の初任科生で、冬に消防学校に通いました。だから、初任科で真夏に防火衣と呼吸器をつけて訓練する、というのは経験していません。前期でぶっ通しでやる方が絶対にきついはずです。
それでも、署内でやる分だけでも相当こたえました。後々の出動に影響するくらい、体力を持っていかれるんです。
休憩は取ってください。でも訓練中は、ギブアップしないでほしい
ここは、はっきり書いておきたいところです。
休憩は、絶対に取ったほうがいいです。
「実際の火災でも3〜4時間動きっぱなしなんだから、訓練で1〜2時間ごとに休憩しているようではダメだ」。そういう古い考えの方も、たしかにいると思います。
でも、休憩を取りながらやらないと、その後の出動に差し支えますし、本当に死人が出てもおかしくない。そこは譲らないでほしいです。
そのうえで、これも本音として書きます。訓練中は、ギブアップせずに頑張ってほしい。
理由はシンプルで、実際の火災で体力を消耗しきってしまうと、活動そのものが成り立たなくなるからです。本番で動ける状態を想定して、訓練の時間帯はしっかりやりきる。
「この訓練は意味がない」と思う日もあると思います。それでも、そういう場所で根性をつけるしかないんです。真夏の暑さも、気持ちや根性を鍛える訓練だと思ってやったほうがいい。ぜひ、頑張ってほしいと思います。
3つ目。火災のあとの、残火処理
3つ目は、残火処理です。これがめちゃくちゃきつかった。
火災現場での活動そのものも、もちろんきついです。でも、火の勢いが止まって鎮圧された、そのあとに待っているのが残火処理なんです。
これがきちんとできて、完全に火が消えた状態になって、ようやく鎮火です。
蒸し風呂の中で、2時間、3時間、4時間
残火処理は、短く終わる場合と、とんでもなくかかる場合があります。かかってしまったときが、本当にきつい。
火を消し終わった直後というのは、夏でも冬でも、まだ暑いんです。しかも水をかけているので、蒸し風呂のような蒸気の中で活動することになります。ここで体力がかなり奪われます。
火がくすぶっていると、2時間、3時間、中には4時間。大規模な火災なら、丸1日、2日かけても消えないことが普通にあります。
鎮火を徹底しないと、また火種が出て、再び火災になってしまう。だから残火処理は、絶対に手を抜けないんです。
そして、その筒先をずっと持つのは、若手の役割です。「あそこはまだくすぶってるから、あそこを打ってくれ」と、知識と経験で火種を見つけて指示するのが上司の役割。実際に打つのが若手。
これが、きつい。筒先を持ち続けなければいけないうえに、徹底的にやらないといけない。ただでさえ防火衣が重い状態で、しかも火災後の蒸し暑さの中で、です。
訓練以上の筋力を、使っている
ホースや筒先を持ち続けると、腕が本当にしんどくなります。
残火処理をやった翌日、僕は腕がひどい筋肉痛になりました。そのとき、はっきり気づいたんです。残火処理は、訓練以上の筋力を使っている。
大きい規模の消防本部なら、次々と人が来てくれるので、体への負担は違うのかもしれません。ただ、鎮圧したあとというのは、どうしても最小限の人数で進めていくことになる。だからきついことに変わりはないと思います。
そして、資機材を実際に触れる貴重な機会でもあります。そこはしっかりやっておいたほうがいい。
4つ目。ゴミ屋敷での、CPAと搬送
最後、4つ目です。ゴミ屋敷でのCPA(心肺停止)と、傷病者の搬送。これが本当にきつかった。
まず、ゴミ屋敷の中で活動すること自体がしんどい。そのうえで、足の踏み場もない状況から傷病者を運び出していくのが、本当に大変なんです。
足場がないので、傷病者をそのまま通していくことができません。だから肩の高さまで持ち上げて搬送するような場面が出てきます。
正直に書きますが、運んでいる最中にこけてしまったこともありました。それくらい危ない。
しかも、こういう場所にはバックボードもバスケットストレッチャーも入っていきません。使える道具が、そもそも入らないんです。
僕は体格があったので搬送に回ることが多かったのですが、ゴミ屋敷での搬送は、足の踏み場がなくて本当に危険だと感じました。
助けられる命が、1分2分で助けられなくなる
これは、活動の質そのものにも関わります。
物が散乱していると、針刺し事故のリスクもありますし、単純に活動しにくい。その結果、その場で救命処置ができないことが普通に起こります。
活動が困難だと判断すれば、早期搬送に切り替えて、救急車内など活動しやすい場所まで運び出してから処置をすることになります。
でも、そうなると何が起きるか。助けられるはずの命が、その1分2分で助けられなくなってしまう。 そういう状況が、現実に起こり得るんです。
一般の方へ。整理整頓だけは、お願いしたい
だからこそ、これは元消防士として、一般の方にどうしても伝えたいことです。
万が一のために、身の回りの整理整頓だけはしておいてください。
物が多いこと自体は、しょうがないと思います。全部捨ててくださいという話ではありません。ただ、床にゴミがないだけで、活動のしやすさがまったく変わります。
運ぶ側が楽になる、という話だけではありません。その場で処置ができるかどうか、つまり助けられるかどうかに直結します。
もちろん、ケガや病気でご自身が動けない方もいると思います。そこは何とも言えません。できる範囲で構いません。 それだけでも、いざというときに本当に助かります。
これは、僕が現場で「きつかったな」と思ったからこその、心からのお願いです。
現役の方へ
以上、消防士時代に本当にきつかったこと4つでした。
現役の方であれば、賛同してくださる部分もあるでしょうし、「いや、こんなこともあったよ」というものもあると思います。そういう話があれば、ぜひ教えてください。
このテーマは、また思い出したときに書いていきたいと思っています。
よくある質問
Q. 消防士は、毎回こんなに徹夜になるのですか?
A. いいえ。僕の場合、ここまでの徹夜は2〜3年目を境にほぼなくなりました。署が機関員を順繰りに回す体制に変えたからです。出動件数と人員体制で決まる部分が大きいので、消防本部によってかなり違います。
Q. 防火衣と空気呼吸器は、合わせてどれくらいの重さですか?
A. 防火衣だけで10キロほど、空気呼吸器を背負うと合わせてプラス20キロほどの負荷になります。さらに面体で空気が吸いにくくなるため、心拍数が上がって体力の消耗が加速します。
Q. 残火処理はどれくらい時間がかかりますか?
A. 短く終わることもありますが、火がくすぶっていると2時間、3時間、4時間かかることもあります。大規模な火災なら丸1日、2日かけても消えないことが普通にあります。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
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