💡 この記事のポイント
- 「消防士は眠い時どうしてる?」という質問に、元消防士が本音で回答
- 結論:個人の睡魔対策はない。乗り切れるのは「チームだから」
- 一番眠くなるのは出動後。小さな対策は「暇があったら目をつぶる」
今日は「消防士の睡魔対策」というテーマで、元消防士として本音で話していきたいと思います。
僕は5年半、消防士として勤めたあと、今はトラックドライバーをしています。
先日、こんな趣旨のメッセージをいただきました。
「いつも拝見しています! 消防士は出動が重なると、睡眠時間を確保できない日があると思います。眠い時、どのように睡魔を抑えていましたか?」。今日は、この質問に答えていきます。
1. 正直に言うと、消防士に「睡魔対策」はない
先に結論から言ってしまうと、消防士に、ちゃんとした睡魔対策はありません。
トラックドライバーであれば、ガムを噛んだり、誰かと電話したり、音楽を爆音で聴いたり、自分一人の仕事だからこそできる対策がいろいろあります。でも消防の場合は、出動がかかってしまえば、もうどうしようもないんです。眠かろうが何だろうが、指令が鳴れば現場に向かうしかありません。
しかも当務中は、まとまった睡眠を取る暇そのものがない。だから「眠い時にどうするか」というより、「眠いまま、どう乗り切るか」という話になってきます。
2. それでも乗り切れるのは、「チームだから」
じゃあどうやって乗り切っていたかというと、答えは「チームだから」です。
消防の出動は、救急なら3人、火災や救助なら3〜4人で活動します。だから、たとえば機関員(運転手)だけが眠くても、眠くない人に運転を代わってもらえる。一人に負担が偏らないように、隊の中で順繰りに回していけるんですね。実際、救急だと「行きはこの人が運転、帰りは別の人が運転」という形にして、その間に救急車内で軽く目をつぶる、ということもやっていました。
僕がまだ1〜2年目で、機関員ができなかった隊員の頃は、むしろ先輩のほうが気を使ってくれました。機関員や隊長が「まだ出動があるかもしれんから、後ろで寝てていいよ」と声をかけてくれたんです。隊はチームで動くもの。隊長や機関員次第で、いかに隊全体をいい状態に保つか。そのマネジメントの中で、僕は助けられていたなと思います。
もちろん、すべての消防署がそうとは限りません。ただ、機関員に偏りが出ないように回していく工夫は、どこの消防署でも、多かれ少なかれしているんじゃないかと思います。なぜなら、機関員は隊員の命も、傷病者の命も預かっている。その重い責任を、一人の人間だけに背負わせ続けるのは、やっぱり良くないんですよね。だからこそ、機関員を何人もこなせる状態が、消防署としては理想なんです。
3. 一番眠くなるのは、「出動が終わった後」
意外かもしれませんが、現場に出ているうちは、正直あまり眠くなりません。出動中はアドレナリンがバーッと出て、戦っているような状態になる。どんどん頭が冴えてくるんですよね。
一番眠気が来るのは、その出動が終わった後です。救急なら、傷病者を病院に送り届けた帰りの車内。緊張がほどけて、気が緩む瞬間。でも、そこで一度気を緩めないと、次の出動に集中できない。だからどうしても、帰り道で眠気がやってくるんです。
そして、本当に怖いのはここからです。事故が多いのは、出動した直後と、帰署の途中。寝起きでボーッとしたまま運転していると、最初の1分くらいは、サイレンの音も聞こえないくらいふわふわしている。記憶がほとんどない、ということもありました。脳はまだ起きていないのに、知識と経験だけで体が動いている、という感覚です。
4. 小さな対策は、「暇があったら目をつぶる」
大きな対策はない、と言いましたが、小さな対策ならあります。それは、「暇があったら目をつぶる」。本当にそれだけです。
でも、目をつぶるだけでも、意外と回復するんですよ。昼寝もそうですよね。たった10分横になって、意識がなくなって、パッと目覚めた瞬間にスッキリする。あの感覚です。寝不足のときは、軽く目をつぶるだけでも、けっこう効果的だと思います。
もちろん、トイレに行って何時間も帰ってこない、みたいなのはダメですけどね(笑)。あくまで、ちょっとした合間に、です。
5. 仮眠から出動へ。覚醒のコツは「とにかく早く動く」
当務でしんどいのが、仮眠中の出動です。完全に休んでいる状態から、一気に出動の覚醒状態まで持っていく。これは体にとって、ものすごい負担なんです。実は、ベテランでも仮眠中の出動が苦手な人はすごく多い。それくらい、切り替えが難しいんですね。
僕自身、いちばん最初の出動のときは、指令音に気づかないくらい深く眠っていて、先輩に起こされて「え、今鳴ったんですか」となったことがあります。今思い出しても苦い記憶です。だから後輩には「最初のうちは、一人で寝ないようにな」と伝えていました。
で、僕が覚醒のために意識していたのは、とにかく「早く動く」こと。「あー眠い、だるい」と思う前に、バッと体を動かす。下に降りて、防寒衣を早く着る、感染防止衣を早く着る、出動場所が表示される画面に誰よりも早く行く。当たり前のことなんですけど、いつもより早く動く勢いで、装備を整える。頭と体を冴えさせるには、もう、早く動くしかないんです。ただでさえ僕は人より動きが遅かったので、そこは徹底していました。
6. 本音を言うと、体への負担はすごい
最後に、これは本音なんですけど、この働き方は、本当に体に負担がかかります。
機関員をやっていて「危ないな」と思ったのが、出動して1〜2分の間、信号の色がぼやけて見えること。青が赤に見えたりするんです。胸がドキドキして、動悸がすごい。「あぁ、これは体に悪いな」と、はっきり実感していました。
消防士の平均寿命は短い、という話を聞いたことがあります。当時はその意味を、こういう瞬間にひしひしと感じていました。だからこそ、現役で頑張っている消防士のみなさんには、チームで上手に回し合いながら、少しでも体を休めてほしいなと思います。質問をくださった方の、何かの参考になれば嬉しいです。最後まで読んでいただきありがとうございました。
よくある質問(FAQ)
Q. 消防士は当務中どうやって眠気を抑えているの?
A. 個人でできる決まった対策はありません。指令が鳴れば眠くても出動するしかない。乗り切れるのは、隊の中で運転を交代するなど「チームで負担を回し合っている」からです。
Q. 一番眠くなるのはいつ?
A. 出動中はアドレナリンで頭が冴えるため、あまり眠くなりません。一番眠気が来るのは出動が終わった後、帰署途中の車内です。事故が多いのも、出動直後と帰署の途中です。
Q. 仮眠から出動するコツは?
A. 「とにかく早く動く」ことです。眠い・だるいと思う前に体を動かし、装備を誰よりも早く整える。ベテランでも仮眠中の出動は苦手な人が多いので、意識的に動くことが覚醒への近道です。


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