消防士として5年半働いた中で、「これをやっておいてよかった」と心から思えることがひとつあります。それが、普通救命講習の講師(または補助)としての経験です。
1. 普通救命講習の講師って何をするの?
消防士として働いていると、市内の公会堂や学校、企業などに出張して救命講習を教える機会があります。中学校・高校・小学校の先生方に向けて教えることもありますし、企業の社員研修として呼ばれることもあります。
「なんか面倒くさそう……」と思う人もいるかもしれません。正直、僕も最初はそう感じていた部分がありました。でも、これは絶対に全力でやったほうがいい。断ったり、手を抜いたりするのはもったいなさすぎます。
2. 僕はもともと説明が壊滅的に下手だった
少し自分の話をします。僕はもともと不器用で、頭の回転も遅く、説明が本当に下手でした。学生時代の勉強も「なぜそうなるか」を考えずに暗記だけでこなすタイプで、「なぜ」を問う習慣がまったくなかったんですよね。
これの何が問題かというと、言語化ができないんです。言語化できないと、人に説明できない。説明できないということは、再現性がない。たとえば野球でいえば、「バットはビュンと振ってガツッと当てにいけ」みたいな、感覚だけの曖昧な伝え方しかできなくなる。これって分かる人には分かるかもしれないけど、分からない人には全く伝わらないんですよね。
そんな僕が、普通救命講習の講師をやることで変わりました。
3. 「分かりやすく説明する力」が身につく理由
救命講習を受けに来る方は、ほとんどが一般市民の方です。消防の知識がゼロの人に、CPRやAEDの使い方を正確に伝えないといけない。そのためには、まず自分が「本質から理解している」ことが絶対に必要です。自分がわかっていないことは、人に教えられない。
台本を読んでそのまましゃべることもできますが、本質を理解していないと質問が来たときに詰まりますし、場の空気が変わったときに対応できません。逆に本質を理解していれば、台本なんてなくても話せる。「ここだけ押さえておこう」という要点だけメモしておけば、あとは自分の言葉で伝えられるようになる。これに気づいてから、物事の覚え方が変わりました。
4. 人前で話す貴重な機会
消防の仕事って、基本的にチームの中で動くことが多いです。市民の方に向けてプレゼンするような機会は、普通救命講習以外にあまりありません。僕は学生時代、みんなの前で一人で話すという経験がほとんどなかった。だから最初は正直かなり緊張しました。
でも、やっているうちに気づいたことがあります。受講者の方って、ちゃんと真剣に聞いてくれるんですよ。特に企業研修などでは、上司も部下も一緒になって取り組んでくれる。中学生のグループでは賑やかな雰囲気の中でやることもある。その場その場の雰囲気を読んで、伝え方を変える経験が積めるのは、本当に大きかったです。
5. 身につくのは「話す力」だけじゃない
普通救命講習を通じて身につくのは、説明力だけではありません。時間管理の力も鍛えられます。企業さんは忙しいので、「9時から10時の1時間で、説明から実技まで完結させてください」という制約がある中でやることも多い。限られた時間で内容を組み立てるスキルは、仕事全般に応用できます。
また、後輩指導がスムーズになります。消防の現場でも「なぜこの動きをするのか」を言語化できるようになると、後輩への説明が格段にわかりやすくなる。これは上の立場になっても、どんな職種に転職しても使えるスキルです。
6. 消防士としての社会貢献を実感できる場所
普通救命講習の講師をやっていると、消防士として社会に貢献しているという感覚を強く持てます。救急隊として現場に出て命を救う。消防隊として火事を消す。それも当然大事な仕事です。
でも、「もしもの時に自分で対処できる市民を増やす」という仕事も、間違いなく社会貢献のひとつだと思っています。受講者の方が一生懸命取り組んでくれて、できるようになっていく瞬間というのは、本当にやりがいを感じました。
まとめ
若手消防士のうちに全力で取り組んでほしいこと、それは普通救命講習の講師・補助経験です。難しいことをバリバリ教える必要はありません。本質を理解して、分かりやすく伝える。それだけを意識してやれば十分です。
この経験は、消防の仕事だけでなく、その後の人生でも必ず生きてきます。不器用でコミュ障だった僕が言うのだから、間違いないと思います。ぜひ机の前でうんうん悩むより、現場で経験を積んでみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。元消防士のトラックドライバー🧑🚒🚚
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