💡 この記事でわかること
- 消防士が1日に訓練できる時間の実際(1〜2時間)
- 訓練の時間が取れなくなる4つの理由
- 3交代制の出勤日数から計算した、年間の訓練機会
- 2年目で覚えられなくても普通だと言える構造的な理由
今回は「消防士の訓練時間」というテーマで、元消防士として本音で書いていきたいと思います。
僕は5年半、消防士として勤めたあと、今はトラックドライバーをしています。
前回、「消防士がムカつく瞬間」として、報告書を打ち込んでいる最中に指令が鳴る話を書きました。その続きのような話です。
出動が立て続けに起こると、訓練ができなくなります。
消防士の訓練時間は1日どれくらい?結論は1〜2時間
消防士というと、一日中訓練をしているイメージがあると思います。
まったく違います。
僕がいた本部の感覚で言うと、1日に1〜2時間取れたらいい方でした。
2時間以上できた日は、「今日はめちゃくちゃ訓練できたね」という会話になります。それくらいです。
なぜそうなるのか、順番に書いていきます。
訓練時間が1日1〜2時間しか取れない4つの理由
理由① 災害出動が最優先だから
当たり前ですが、災害出動が仕事のメインです。
災害が起きたら出動する。傷病者を適切に搬送する。市民の財産を守る。それが義務です。
だから、訓練の最中に指令が鳴って中断することは、まったく仕方ないと思っています。そこに文句はありません。
ただ、出動が2件、3件と続くと、その日はもう訓練どころではなくなります。
理由② 救命講習や市民防災訓練の行事があるから
意外と知られていないのがこれです。
普通救命講習の講師として出向きます。上級救命講習もあります。
地区ごとの市民防災訓練もあります。地域の方に向けた訓練に、消防が出ていくわけです。
こういう行事の準備と当日で、半日、1日が普通に埋まります。
理由③ 地水利調査と査察という日常業務があるから
さらに日々の業務です。
地水利調査があります。消火栓や防火水槽を一つずつ点検して、清掃する業務です。
蓋を開けて、中を確認して、使える状態にしておく。水が出なければ現場で何もできないので、ここは手が抜けません。地理や水利を覚えられるのは、あくまでその副産物です。
査察もあります。企業さんの防火設備の点検です。消火器がきちんと置かれているか、使用期限は大丈夫か。そういうところを見ていきます。
どちらも業務なので、やらないという選択肢はありません。ここにも時間を取られます。
管轄が広い消防本部ほど、点検する水利が多い
ここは本部によって差が出ます。
管轄が広い消防本部は、消火栓や防火水槽の数がとにかく多い。
水利の数が多いということは、点検と清掃をする対象がそれだけ多いということです。地水利調査に費やす時間は、膨大なものになります。
理由④ 人員に余裕がないと、訓練に割ける人がゼロになる
これは僕がいたような田舎の消防の話です。
人員に余裕がありません。
出動が2件、3件と続くと、署に残っている人間がいなくなります。そうなると、訓練に割く人数がゼロになるんです。
訓練をやりたくてもできない。人がいないんですから。
大きい消防本部なら、カリキュラム通りに進むはず
逆のパターンも書いておきます。
人数に余裕のある本部や、出動件数がそこまで多くない本部なら、訓練はきちんと進むはずです。
大きな消防本部には、新人や若手向けのカリキュラムがあると聞きます。それに沿って積み上げていけるなら、同じ1年でも身につく量はまったく違ってきます。
同じ「消防士1年目」でも、本部によって差がつくということです。
新人が覚えられなくても普通な理由|出勤は月10日ほど
3交代制は出勤が月10日ほど。日勤の半分しかない
ここも大事なところです。
3交代制なら、出勤は月に10日ほどです。
日勤の仕事なら月に20日は出ます。つまり、出勤日数からして半分なんです。
その10日のうち、出動と行事と業務を引いて、残りが訓練の時間になります。
10日のうち、何日まともに訓練ができるか。 そう考えると、覚えるのに時間がかかるのは当たり前だと思いませんか。
2年目で覚えられなくても普通だと言える理由
以前、「2年目なのに、いまだに覚えられなくて怒られます」というメッセージにお答えしました。
あのときも「普通のことです」と書きましたが、理由はまさにこれです。
署に来る回数が少ない。来ても出動と業務で埋まる。訓練の時間が残らない。
これで2年目にすべて覚えていたら、そちらの方がすごいです。
僕自身、物覚えが悪くて、要領も悪くて、頭の回転も遅くて、人見知りでコミュ障でした。だから相当苦労しました。ただ、それは消防に限った話ではないとも思っています。
1日の当務に入る人数は、思っているより少ない
これは、新人のときに驚いたことです。
1日の当務に入る人数が、意外と少ない。
その人数で、火災も、救助も、救急も回します。
「え、この人数で火災に行くの? 救助も? ましてや救急も?」
当時は本当にそう思いました。今なら「あれで何とか回していたんだな」と分かりますが、最初は驚きます。
救急隊も火災に動員される。新人が最初につまずくところ
そして、新人が最初につまずくのがここです。
救急隊も、火災の現場に動員されます。
火災には火災の編成があり、救助には救助の編成があり、救急には救急支援の出動があります。事案の種類ごとに、誰がどの車に乗ってどう動くかが決まっている。
これを覚えるのが、最初は本当にこんがらがります。
直属の先輩が教えてくれますが、それでも訳が分からなくなる。これは、最初のあるあるだと思います。
覚えられないのが普通だとして、では何から覚えればいいのか。雑務・資機材・地水利の順番と、「あれ持ってきて」に聞き返さず動けるまでの目安は、有料の記事にまとめました。
▼不器用なまま、消防士で生き残る(note・有料)
不器用なまま、消防士で生き残る。五年半かけて分かった「順番」
トラックドライバーなら半年で一人前。消防との差
比較として、今の仕事の話も書いておきます。
トラックドライバーは、覚えることがそこまで多くありません。道と、荷物の積み方と、運転に慣れるかどうか。
僕の仕事内容なら、遅くとも3か月あれば一人で回せるようになります。物覚えが悪い人や、運転のセンスがあまりない人でも、半年もあれば一人前です。
そう考えると、消防はなかなかのハードゲームだと思います。
覚えることが膨大で、そのうえ訓練の時間が取れない。物覚えが悪い人ほど苦労する構造になっています。
これから消防士になる方へ
だからこそ、先に知っておいてほしいです。
一日中訓練をしていると思ったら、大間違いです。
訓練ができる日の方が限られています。そのうえで覚えていかないといけない。
覚えるのが遅いと感じても、それはあなたのせいだけではありません。そういう構造なんです。
そこを分かっているだけで、自分を責めずに済みます。
訓練の量も、本部ごとに違います
最後に書いておきます。
ここまで書いたのは、僕がいた一つの本部での話です。
人員の余裕も、出動件数も、管轄の広さも、訓練のカリキュラムがあるかどうかも、本部が変われば変わります。
ただ、それは実名を出さないと意味のない話です。無料の記事で書けることではないので、有料の記事にまとめました。
元消防士として、実名で書いています。
▼受けるなら、ここだと思う5本部
愛知県で本当に受けるべき消防本部、元消防士が実名で5つ選びました
▼逆に、僕ならすすめない5本部
愛知県で受けない方がいい消防本部、元消防士が実名で5つ書きました
▼前回の「ムカつく瞬間」は、こちらです
消防士がムカつく瞬間① 報告書を打ち込んでいる最中に、指令が鳴る
▼2年目で覚えられない方へ書いた記事は、こちらです
「2年目なのに、いまだに覚えられなくて怒られます」というメッセージへ。元消防士が伝えたい、たった一つの理由
消防士の訓練についてよくある質問
Q1. 消防士は一日中訓練しているのですか?
まったく違います。僕がいた本部の感覚では1日に1〜2時間取れたらいい方でした。2時間以上できた日は「今日はめちゃくちゃ訓練できたね」という会話になります。災害出動、行事、日常業務で1日が埋まります。
Q2. 1年でどれくらい訓練できるのですか?
3交代制だと出勤は月に10日ほどです。日勤の仕事の半分しかありません。その10日から出動と行事と業務を引いた残りが訓練の時間になります。覚えるのに時間がかかるのは当たり前です。
Q3. 本部によって訓練量は変わりますか?
変わります。人員に余裕のある本部や出動件数が多くない本部なら、カリキュラムに沿って積み上げられます。同じ「消防士1年目」でも、本部によって身につく量がまったく違ってきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
元消防士のトラックドライバー🧑🚒🚚


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