💡 この記事でわかること
- 消防士が実際に火災に出動する回数(田舎の本部の場合)
- 全国の火災件数の推移と、減っている理由
- 火災が減ったことで若手消防士が経験を積みにくい問題
- 実火災体験型訓練(コンテナでの火災性状体験)とは
今回は「消防士は、実際どれくらい火災に出るのか」というテーマで、元消防士として本音で書いていきたいと思います。
僕は5年半、消防士として勤めたあと、今はトラックドライバーをしています。
消防士というと、火事に出動して火を消す。火の中に取り残された人を助け出す。そういうイメージを持たれる方が、ものすごく多いと思います。
結論|消防士になっても火災はそんなに起きない
先に結論から書きます。
火災は、そんなに起きません。
田舎の消防本部の火災件数は年に10件前後
僕がいたのは、田舎の消防本部でした。
火災は、2か月に1回くらい。多いときで、1か月に2回。そのあと3か月、火災がない。そういうことが結構ありました。
1年で、10件前後です。
「え、それだけしか火災ってないの?」と思いませんか。
これは、僕がいた田舎の本部に限った話です。他の管轄に行けば、月に何件も出る所属もあると思います。
ただ、毎当務のように火災がある、という本部は、そんなにないんじゃないかと思います。
全国の火災件数は減り続けている
働いていた実感として、火災の件数は下がり続けていると思います。
5年半やってきた中で、毎年「あれ?今年はあんまり火災に行ってないな」という感覚がありました。
調べてみると、全国の火災の件数は、平成20年には5万2千件ほどありました。それが令和6年には、3万7千件ほどまで減っています。
火災が減った理由|住宅用火災警報器と消防設備
減っている理由は、火災報知器や消防設備の充実だと思っています。
住宅用の火災警報器は、今はすべての住宅で設置が義務になっています。
早く気づいて、早く逃げる。初期消火ができる。そういう設備の充実が、火災の件数を下げることに寄与しているんじゃないかと思います。
火災は少ないに越したことはない
火災や災害は、少ない方がいいに決まっています。
火災に出動するということは、命の危険を背負って、火災戦闘をするということです。人命救助を最優先に、本当に危ない状況の中に、自ら飛び込んでいく。それが出場命令としてあるので、やらないといけません。
件数が減れば、命の危険にさらされる回数も減ります。殉職してしまう確率を、下げることにもつながります。
だからこそ、予防や消防設備の充実が大事になってきます。
それは、僕たち消防職員にとってもいいことです。市民にとっても、早く気づいて逃げられる、初期消火ができる、といういいことがあります。どんどんいい循環になっていけばいいと思っています。
デメリット|若手消防士が火災の経験を積みにくい
一つだけ、デメリットがあります。
火災が年々減っているということは、若手が経験を積みにくい、ということです。
僕自身、5年半で火災に出た件数は、10件行くか行かないかくらいです。
5年半で、10件ほど。
そう考えると、現場の経験として、どこが危険なのか、どこに命の危険があるのか。その見分けがつきにくいんじゃないかと思います。
経験値がないがゆえの危険性が、あると思っています。
訓練では本物の火は消せない
経験値を得るには、訓練をするしかありません。
ただ、訓練では、実際に火を消すわけではありません。実際に火の中を検索して、人命救助をするわけでもない。
だから、今の若手は、火災の経験を得にくい。これはデメリットだと思っています。
実火災体験型訓練|本物の火の動きを体験できる講習
そこで、若手の方に知ってほしいのが、本物の火を使った講習です。
コンテナの中で実際に火を起こして、火がどう燃え広がるのか、煙がどう動くのか、空気の流れはどうなっているのか。それを体験しながら学べる講習があります。
調べてみると、実火災体験型訓練と呼ばれていて、コンテナの中で木材を燃やして、フラッシュオーバーに至るまでの前兆を観察したり、熱や煙を体験したりするそうです。都道府県の消防学校などで実施されています。
火災の性状を知らない若い世代が増えたこと、フラッシュオーバーによる事故を防ぐことが、導入の理由の一つだそうです。
僕は講習に参加できなかった
実は、僕もこの講習に参加しようとしていました。
ただ、退職することになって、参加できませんでした。
消防士としてやり残したことがあるとすれば、唯一、これです。
火の性状をきちんと理解して、現場に行きたかった。本当の意味で、火災のことをもっと知りたかった。心残りというか、やっておけばよかったと思っています。
同僚がフラッシュオーバーに巻き込まれた話
以前の記事で、同僚2人がフラッシュオーバーに巻き込まれた話を書きました。
あとで聞いたところ、事前に何となく予感はあったそうです。火は見えないのに、変に暑い。めちゃくちゃ暑い。
開口部を作ろうと窓を開けたところ、そこから空気が入って、一気に爆発的に燃焼してしまった。
2人ははぐれてしまいました。先輩は、その燃焼のはずみで床が抜け落ち、そこにはまってしまった。後輩はパニックです。
よく2人とも生きて帰ってこられたと思います。
若手消防士こそ、実火災の講習に行ってほしい
火災は、本当に命を落としかねません。
だからこそ、自分の身を守るためにも、若手の方や新人の消防士には、こういう講習にぜひ行ってほしいと思います。
火の性状を理解して、対策も理解して、火災に臨む。
自分の身を守る行動ができるようになれば、自分が先輩になったときに、後輩に教えることもできます。
メリットしかないと思います。
▼同僚がフラッシュオーバーに巻き込まれた話は、こちらです
同僚2人が、フラッシュオーバーに巻き込まれた日。元消防士が忘れられない、火災現場のリアル
▼訓練の時間がなかなか取れない話は、こちらに書きました
よくある質問
Q1. 消防士は年に何回くらい火災に出動しますか?
本部によって大きく違います。僕がいた田舎の本部では、火災は年に10件前後でした。5年半で僕が出動した火災は、10件行くか行かないかくらいです。
Q2. 火災の件数は減っているのですか?
全国の火災の件数は、平成20年には5万2千件ほどありましたが、令和6年には3万7千件ほどまで減っています。住宅用火災警報器や消防設備の充実が効いていると思います。
Q3. 実火災体験型訓練とは何ですか?
コンテナの中で木材などを燃やし、火や煙の動き、フラッシュオーバーに至るまでの前兆を実際に体験する訓練です。都道府県の消防学校などで実施されています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
元消防士のトラックドライバー🧑🚒🚚


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