💡 この記事でわかること
- 消防士の夜間出動が、体にどう負担をかけるのか(元消防士の実体験)
- 「消防士は寿命が短い(65歳)」という説に根拠はあるのか
- IARCが消防士の職業曝露を発がん性「グループ一」に分類した件
- 消防士の当務中の睡眠時間と、転職後に体調が良くなった理由
- 睡眠を大事にする人に、消防士が向かない理由
今日は「消防士の仕事は、本当に体に悪いのか」というテーマで話していきたいと思います。
先日、「これが来たら一人前」という記事を書きました。そこにいただいたメッセージが、これです。
「マジ体に悪い」
……返す言葉がありませんでした。
本当にその通りだからです。僕自身、5年半ずっと「これは体に悪いな」と思いながら働いていました。
今回は、それを正直に書きます。
夜間出動は体にどう悪い?指令で飛び起きた瞬間の体の反応
夜間の出動のきつさそのものは前にも書いたので、そちらも読んでいただけたらと思いますが、体への影響という一点に絞って書きます。
まず、動悸がします。
深い眠りの途中で指令が鳴って、いきなり頭をフル回転させないといけない。でも体はまだ起きていません。頭がふわふわしたまま、出動していくんです。
そして、これは経験した人にしか伝わらないかもしれませんが、頭の血流が分かります。
ゴーッと。頭の中で「ゴー」という音が聞こえるような感覚があるんです。
あれを毎回やっていたら体に良いわけがない。そう思いながら、毎日を過ごしていました。
消防士は寿命が短いって本当?「65歳説」を調べた結果
消防の世界では、「消防士の寿命は短い」とよく言われます。65から70歳くらいだ、という話です。
実際、「救急隊でバリバリやっていた先輩が、定年後すぐに亡くなってしまった」という話は、僕もよく聞きました。
ただ、この記事を書くにあたって調べてみました。そうしたら、こうでした。
日本には、職業別の平均寿命という公的な統計が存在しません。
つまり「消防士の平均寿命は65歳」という数字には、はっきりした根拠がないんです。
正直、「あ、そうなんだ」と思いました。ずっとそういうものだと思って聞いていたので。
ですから、ここは正確に書いておきます。寿命が短いというのは、根拠のある話ではありません。
消防士の健康リスクには裏付けがある|IARCが「グループ一」に分類
一方で、調べていて驚いたことがあります。
2022年、WHOの外部機関であるIARC(国際がん研究機関)が、「消防士としての職業曝露」を、発がん性の分類でいちばん上のグループ一に位置づけました。
グループ一というのは、「人に対して発がん性がある」と確立されたものという区分です。中皮腫や膀胱がんとの関係が指摘されています。
理由は、消防士が浴びているものの中身です。燃焼で出る多環芳香族炭化水素や揮発性有機化合物、金属、粒子状物質。ディーゼル排気。建材のアスベスト。そこに熱ストレスと交代勤務が重なります。
つまり、こういうことだと思っています。
「寿命が何歳」という数字には根拠がない。でも「体に悪い」という実感の方には、ちゃんと裏付けがあった。
命を削って働いている、という実感
火災出動にしても、夜通しの救急にしても、現場に出ているとこう思う瞬間があります。
「自分は今、命を削って市民のために働いているな」
これは大げさな表現ではなくて、常日頃、本当に感じていたことです。
今振り返っても、せっかくの命を削っていたんだなと思います。
今まさに最前線にいる方は、比重としては若い方が多いはずです。今はしっかり働けている。でも、歳を重ねていくにつれてしんどくなってくる部分は、確実にあると思います。
「寝てない自慢」について思うこと|睡眠は削らなくても頑張れる
ここからは、少し別の話をします。
「今日、寝てないから」
そう言う人が、一定数いますよね。睡眠すら犠牲にして「自分は頑張っているんだよ」と示すタイプの人です。
僕は、あれがあまり好きではありません。
もちろん、頑張らなければいけない場面はあります。どうしても睡眠を削るしかない状況も、実際に出てきます。それは分かっています。
でも、そもそも削らなくて済むように組み立てることは、できると思うんです。
15分でも20分でも前倒しして、やることをやっておく。それだけで、睡眠を削ってまで頑張らなくてよくなる場面は、かなりあるはずです。
睡眠を削ることは、頑張りの証明にはなりません。
消防士の睡眠時間はどれくらい?当務中は6時間取れたら良い方
具体的に書きます。
勤務中の睡眠は、6時間取れたら良い方でした。
出動が重なってくると、2〜3時間。 場合によっては徹夜で出動し続けることもあります。
そしてこれが、しょっちゅうあるんです。
その結果どうなるか。次の日は睡眠不足で、1日潰れます。 非番の日はひたすら寝ている。このパターンが、本当に多かった。
転職して睡眠時間は減った。それでも体調が良くなった理由
今はトラックドライバーで、日勤です。毎日、家で寝られます。
ここで意外に思われるかもしれませんが、睡眠時間そのものは、そんなに変わっていません。むしろ今の方が少ないかもしれません。 小さい子供がいるので、どうしても短くなる部分があります。
それでも、体の状態はまったく違います。
理由ははっきりしています。
安定して寝られるからです。
寝だめより毎日6〜7時間|安定した睡眠がいちばん効く
これが、転職して自分の体で気づいたことです。
寝られなかった日の翌日に10時間、12時間寝るよりも、毎日6〜7時間ずつ寝られた方が、体の状態は圧倒的に良い。
体感ベースでしかありませんが、今すごく実感しています。常に眠気に苛まれていないというのが、これほど楽なものかと思いました。
継続的に睡眠が取れること。これは、自分の体をもって転職してみて、初めて気づいたことです。
それでも消防士の良いところ|休みが多く自分の時間がある
誤解のないように書き添えます。
時間の面では、消防士は非常に恵まれています。
休みがすごく多いので、さっきのデメリットを凌駕するだけの「自分の時間」があります。
自分を高めることに使ってもいいし、趣味に全部使ってもいい。自己実現がやりやすい職業です。
時間が欲しい方にとっては、本当に良い職業だと思います。
まとめ|睡眠を大事にする人には、消防士は向かない
まとめます。
「消防士の寿命が短い」という数字に根拠はありません。ここは、はっきりさせておきます。
ただ、夜間の出動が体に負荷をかけているのは事実です。 そして交代勤務を含む消防士の職業曝露については、国際機関が正式に危険性を認めています。
僕自身の体感としても、素直に言います。消防士時代は、すごく体に悪かったです。
唯一きつかったのは、そこでした。睡眠です。三大欲求なので、致し方ない部分ではあります。
だから、これから目指す方に一つだけ。
睡眠を本当に大事にする人には、向かない職業です。
そこだけは、知っておいてください。
よくある質問
Q. 消防士の平均寿命は本当に65歳くらいなのですか?
A. 根拠はありません。日本には職業別の平均寿命という公的な統計が存在しないため、「消防士の平均寿命は65歳」という数字を裏付けるデータはありません。現場で「定年後すぐ亡くなった先輩がいた」という話はよく聞きますが、それは個別の話です。
Q. 消防士は当務中にどれくらい寝られますか?
A. 所属や出動件数によって大きく違いますが、僕の場合は6時間寝られたら良い方でした。出動が重なれば2〜3時間、夜通し出動が続いて徹夜になる日もあります。
Q. 睡眠が大事なタイプですが、消防士は目指さない方がいいですか?
A. 向いているとは言いにくいです。ただし休みが多く自分の時間を取りやすいという大きな長所もあります。夜間の出動がどれくらい多い本部なのか、救急隊の件数はどれくらいかを事前に調べておくと、ギャップは小さくなります。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
元消防士のトラックドライバー🧑🚒🚚


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