💡 この記事のポイント
- 結論、消防士に根性は必要。命に関わる現場が多いから
- 放水は1〜2時間続くこともあり、検索活動は常にスクワット状態
- 救急でも救助でも、根性が要る現場は確実にある
- 根性とは「目的を遂行するためのエネルギー」。今からでも鍛えられる
今回は「消防士に根性は必要ですか?」というご質問について、元消防士として本音で答えていきたいと思います。
僕は5年半、消防士として勤めたあと、今はトラックドライバーをしています。
結論から言います。根性は、必要です。
ただ、これは消防に限った話ではありません。今トラックドライバーをやっていて痛感しますが、どんな仕事でも多少の根性はいります。事務員でも、フォークリフトマンでも、倉庫の仕事でも。仕事をやる以上、根性を使う場面は必ず出てきます。
その上で、消防にはやはり特有の理由があります。命に関わる現場が多いからです。火災出動、救助活動、そして救急。他の業種に比べて、自分の命が危うくなる可能性のある現場が圧倒的に多い。だからこそ、根性が必要になる場面が増えるんです。
具体的に、どんな場面で必要になるのか。現場のリアルをお話しします。
火災現場:放水は、腕が上がらなくなる
まず、放水です。
炎が上がっている現場で放水する。これだけでも、かなりの根性がいります。まず、防火衣を着て呼吸器を背負って活動すること自体が、ものすごい負荷なんです。ただ立っているだけでも消耗します。
その状態で筒先を持って放水する。これは腕力も体幹もかなり使います。放水には圧力がかかるので、それを保持し続ける力が必要になる。
しかも、放水は長時間に及びます。1時間、2時間と平気で放水し続けることもある。僕自身、2時間ほど延焼防止の活動をし続けた経験があります。
そのときは、2時間ずっと筒先を持ちっぱなしでした。当時の僕は週5でジムに通ってトレーニングしていたのですが、それでも腕の筋肉痛がしばらく取れなかったほどです。
普段から運動や体力錬成をしていないと、そもそも身体がもたない。そして最後は、多少の根性がないとやりきれません。
一番きついのは「検索活動」
僕が個人的に、最も負荷が高いと感じたのが検索活動です。
火災の最中に「中に人がいる」と分かったとき、屋内に入って要救助者を探す活動です。面体をつけ、視界がほとんど効かない中、燃えている建物の中へ入っていきます。
ここでのポイントは、姿勢です。煙は上に上がります。その煙を吸わないために、ずっと中腰の姿勢で活動するのが基本になります。
イメージとしては、うさぎ跳びのような低い姿勢のまま歩き続ける感じ。常にスクワットをしている状態で移動しているようなものです。これが、本当にきつい。
しかもその状態で、ボンベを背負い、面体をつけ、重たいホースを持って進みます。もし要救助者を発見したら、バディを組んで、その人を運び出さなければいけません。身体への負荷は、相当なものです。
だから消防学校でも、検索訓練はかなりの時間をかけて行います。検索に慣れないと、他の訓練にも進めないくらいです。
それでも、炎の中へ入っていく
「危ないなら、入らなければいいのでは」と思う方もいるかもしれません。
もちろん、入るタイミングは慎重に判断します。炎の状態、室内の温度。それらを加味した上で、入れないと判断すれば入りません。
でも、火は叩かないと消えない。だから、入れる状態であれば、基本的には入っていきます。それが消防の仕事です。
訓練でこれ。現場は、さらにきつい
消防学校の検索訓練は、一度やっただけで本当にきつかったのを覚えています。
僕は冬に消防学校へ行ったので、まだ暑さのつらさはありませんでした。でも、前期に行っていた組は、倒れる人が何人も出るほどの過酷さだったと聞いています。夏場の検索訓練は、それくらい過酷なんです。
そして当然ですが、実際の現場は訓練よりもさらにきつい。中は炎で熱く、本物の黒煙が充満していることもある。周りの誰もが焦っている。そんな状況で活動するわけですから、身体にかかる負荷は訓練の比ではありません。
救急現場でも、根性が要る日がある
「根性が必要なのは火災だけでは?」と思われるかもしれませんが、救急でもあります。
忘れられないのが、CPA(心肺停止)の現場に向かったときのこと。到着してみると、そこはゴミ屋敷でした。
足元も周りも物が散乱していて、人ひとりが通るのがやっとの状況。その中を、傷病者を運び出さなければいけません。
傷病者を持ち上げ、途中は頭や肩の高さまで抱え上げないと通れない箇所もありました。そこを通しながら、なんとか運び出す。ようやく救急車に収容できたときには、心底ほっとしました。
僕はパワーがある方の部類でしたが、それでもかなりきつい現場でした。だからこそ、「根性はいりませんよ」とは、僕には言えないんです。
救助活動も、狭さとの戦い
救助活動については、僕が出た現場ではそこまで根性を使った場面は多くありませんでした。でも、必要になる場面は確実にあります。
たとえばマンホールのような場所。そこへ入っていくこと自体、すごく勇気がいります。しかも、かなり狭い。人ひとり入るのもきついその場所で、傷病者を搬送しながら器具を取り付け、視界も悪い中で引き上げてくる。これは相当な困難を極めます。
こういう現場では、根性は絶対に必要です。
「根性」の前に、体をつくっておく
ここからは、ブログだからこそ書き足しておきます。ここまで読んで「やっぱり自分には無理かも」と思った方に向けて、現実的な話です。
大前提として、根性は体力の上に乗るものです。体が先に音を上げてしまえば、気持ちだけではどうにもなりません。逆に言えば、体力を先に作っておくほど、根性を使わずに済む場面が増えます。
そのうえで、ここまで書いてきた現場の負荷から逆算すると、鍛えておいて損がないのはこのあたりです。
- 下半身。検索活動は、要するに中腰で移動し続ける動きです。スクワットのような、しゃがんだ姿勢を保つ力が直接効いてきます
- 握力と前腕。筒先を保持し続ける動作は、腕力そのものより「握り続ける力」を削られます
- 心肺機能。防火衣と呼吸器を着けているだけで消耗するので、土台になるのは結局ここです。週2〜3回、走る習慣があるだけで違います
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ただ、これは「ここまで鍛えないと消防士になれない」という話ではまったくありません。採用試験に、ずば抜けた体力は必要ないというのが僕の考えです。あくまで、入ったあとに自分が楽をするための準備だと思ってください。
正直、僕は根性がある人間ではなかった
ここまで書いてきましたが、正直に言うと、僕自身は根性がある人間ではありません。
中学のとき野球をやっていたのですが、1年生の頃はまったくついていけませんでした。「根性がない、根性がない」と、ずっと言われ続けてきた人間です。今でも「自分は根性がないな」と思うことがあります。
でも、そう言われながらも、なんとか乗り越えてきました。高校も大学も厳しかったけれど、あの中学時代を乗り越えた経験があったから、続けることができた。根性がないなりに頑張ってきた経験は、今思えば本当にいい経験だったと思います。
だから、「ちょっと頑張ればできそうだな」というところは、頑張っておいた方がいい。若いうちに頑張った経験は、後々、本当に根性が必要な場面で必ず効いてきます。学生のうちに根性を磨いておくことは、すごく大事だと思うんです。
そもそも「根性」って何だろう
では、根性とは何なのか。僕なりの答えはこうです。
目的を遂行するための、エネルギー。 何か一つを成し遂げるための熱量であり、強い気持ち。それが根性だと思っています。
今、部活をやっている学生の中には、「この練習、何を鍛えているのか分からない」と感じる練習もあると思います。野球で言えば「こんな練習ばかりして、野球につながるのか」と。
そういうときは、「これは根性を鍛えているんだ」と思えばいい。ここ一番で力を発揮するための土台を作っているんだ、と。そう思えれば、なんとかやりきれるはずです。僕は、そうやって乗り越えてきました。たとえその練習自体に直接の意味がなかったとしても、そこで鍛えられたものは必ず残ります。
根性が必要なのは、現場だけじゃない
もう一つ付け加えておくと、根性が必要なのは現場だけではありません。
上司からの叱責に耐えるとき。自分の知識をつけるために勉強を続けるとき。そういう場面でも、根性は必要になります。
そしてこれは、最初に書いたとおり、消防に限りません。社会人として働く以上、どんな仕事でも必要になるものだと思います。
根性に自信がないなら、目標を一つ持ってみる
「自分は根性がない」と感じている人へ、一つ提案があります。
趣味でもいいので、目標を持てるものを一つ持ってみてください。
僕は筋トレが趣味なので、たとえばビッグスリー(ベンチプレス・スクワット・デッドリフト)の合計500kgを目指す、といった目標です。野球なら150km投げる、草野球で人生に一度はホームランを打つ。ゴルフならスコア100切りを目指す。何でもいいんです。
大事なのは、その目標に向かって頑張る過程です。実は、その過程こそが根性なんだと僕は思っています。
きついことから、もう一段力を振り絞る。それだけが根性ではありません。目標に向かっていく姿勢も、そこまで頑張ってきた過程も、立派な根性です。
だから、根性に自信がないなら、そういう角度から鍛えてみるのもいい。根性の鍛え方は、一つではありません。
改めて、「消防士に根性は必要ですか?」という質問への答えです。根性は、必要です。 でも、それは今から身につけられるものでもあります。
よくある質問
Q. 体力に自信がなくても、消防士は務まりますか?
A. 務まると思います。ただ、入ってからは訓練も現場も体力を使うので、事前に走る習慣だけは作っておいたほうが、確実に楽になります。採用試験の合否そのものに、ずば抜けた体力は必要ありません。
Q. 検索活動は、具体的に何がそんなにきついのですか?
A. 姿勢です。煙を吸わないよう中腰のまま移動し続けるので、実質ずっとスクワットをしているような状態になります。そこに呼吸器のボンベ、面体、ホースの重量が加わります。視界もほとんど効きません。
Q. 「根性がない」と言われ続けてきました。それでも大丈夫でしょうか?
A. 大丈夫です。僕がまさにそう言われ続けてきた人間です。根性は生まれつきの性格というより、目的に向かってやりきった経験の積み重ねだと思っています。何か一つ、目標を決めて続けてみることから始めてみてください。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
元消防士のトラックドライバー🧑🚒🚚


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