💡 この記事のポイント
- どのグループにも必ず一人か2人、相談すべき「キーマン」がいる
- 見分け方は2つだけ。口が軽くないこと、後輩のために動いてくれること
- 「仕事ができる人」=キーマンではない。むしろ要注意なタイプがいる
- キーマンはたいてい「元・できなかった人」。根っこが不器用な人が多い
- 消防署で出世する人の特徴2つ。元消防士が見た「ちょいクズ」の正体
- 新人消防士に、たった2つだけ伝えたいこと。元消防士が心から願う”生き方”の話
今回は「消防署のグループにいる”キーマン”」というテーマで、元消防士として本音で書いていきたいと思います。
僕は5年半、消防士として勤めたあと、今はトラックドライバーをしています。
今まさに現場に出ている消防士の方、特に新人の方に向けて書きます。
結論から言います。どのグループにも、必ず一人か2人、”キーマン”がいます。 その人を早く見つけられるかどうかで、消防士人生はかなり変わります。
グループの中には、必ず「キーマン」がいる
キーマンというのは、担当に関係なく、グループ全体をよくしようと動ける人のことです。
警防担当でも、救助担当でも、救急担当でもいい。担当の垣根を越えて、「このグループをどうよくしていこうか」という話を、上の人にもきちんとできる人。そして、後輩の意見を拾って、「こうしたほうがいいよ」とグループ全体に共有してくれる人。
そういう先輩が、どのグループにも必ずいます。田舎の消防であればあるほど、そういう存在が生まれやすいと感じています。
僕が伝えたいのは、この人を見抜く力を養ってほしいということです。
僕がいじめを受けずに済んだのは、たぶんこれのおかげ
正直に言うと、僕は消防にいた5年半で、直接いじめを受けたり、はっきりしたパワハラを受けたりすることは、あまりありませんでした。
不器用で、要領も悪くて、コミュニケーションも得意ではない。条件だけ見れば、標的になってもおかしくない人間です。それでも、なんとかやってこられた。
なぜだったのかを振り返ると、キーマンを見抜く力が、多少なりともあったからだと思っています。
僕は結構、そういう先輩に伺いを立てたり、話しかけたり、悩みを打ち明けたりしていました。そうすると、その人が動いてくれる。この効果が、本当に大きかったんです。
新人がやりがちな失敗は、「まっすぐ言ってしまう」こと
新人のうちは、こういうことを言いたくなりますよね。
「あれをやりたいです」「この訓練をやりたいです」「これができません」
そして、それを誰に言うか。たいていは、直近の先輩か、自分の担当の先輩です。警防担当なら警防の先輩、救急なら救急隊の人。自然な流れだと思います。
新人ならではの、純粋なやる気やガッツ。それ自体は、まったく悪いことではありません。
ただ、正直に言うと、そのまま言いに行くのが、よくない場合があります。
直属の先輩が、「いい先輩」とは限らない
なぜかというと、自分の担当の先輩が、必ずしもいい先輩とは限らないからです。
たとえば、直属の上司が、そのまた上の上司に悪口を言ってしまうタイプ。こういう人は、残念ながら必ずいます。
そういう人に「これができないんです」と正直に言ったとき、何が起きるか。その言い方が気に食わなかったというだけで、上に告げ口をされてしまう。それで関係が一気に悪くなってしまう。そういう場面を、僕は何度も見てきました。
僕自身も、最初のころは多少やってしまっていたと思います。そして、そうやってコミュニケーションの取り方を間違えて、グループの中での関係が悪くなってしまった後輩も、実際に見てきました。
まっすぐなのは、いいことです。でも、誰に言うかを間違えると、まっすぐさが仇になることがあるんです。
キーマンの見分け方は、たった2つ
では、どうやってキーマンを見つけるのか。
正直、これは勤務していくうちに、2〜3年目でようやく「あ、この人に話せば動いてもらえるな」と分かってくる部分があります。ただ、それを待たなくても、雰囲気で分かることも多いです。
僕が見ていた条件は、2つだけです。
1つ目。口が軽くないこと。
ここは絶対条件です。相談した内容をペラペラ喋られてしまう人には、本音は預けられません。逆に言えば、この人は口が軽くないな、と分かるだけで、かなり絞り込めます。
2つ目。後輩のために動いてくれること。
自分の担当や自分の評価のためではなく、後輩のために動いた場面を、実際に見たことがあるか。ここです。
この2つを満たす人を、まず一人、見つけてください。 何でも相談する必要はありません。「本当の本音を言える人が、署の中に一人いる」。それだけで、働き方はかなり変わります。
ただし注意。「仕事ができる人」には、2種類いる
ここで、一つ注意点があります。
「仕事ができる人=キーマン」ではありません。 僕の独断と偏見ですが、仕事ができる人には、2つのタイプがあると思っています。
1つ目は、自分ではあまり自覚していないのに、めちゃくちゃ仕事ができてしまっているタイプ。
2つ目は、プライドが高すぎて、自分ができないことが許せないタイプ。自分を詰めて、追い込んで、その結果できるようになった人です。
もちろん、両方の要素が混ざっている人もいます。ただ、大まかにはこの2つに分かれると感じています。
そして、キーマンになるのは、ほぼ1つ目のタイプです。
2つ目のタイプは、仕事ができても要注意
なぜ2つ目のタイプが要注意なのか。
自分を追い込んでできるようになった人は、後輩にも同じことを求めてきます。 「できないことを、できるようにする能力」を当然のものとして要求してくる。だから、一緒にやっていて、すごくやりにくい。
そして、ものすごく詰めてきます。
さらに厄介なのが、そういう人に限って「あいつはできないから」と周りに言いふらすところです。関係を悪化させることに、とにかく長けている。
だから、「あの人は仕事ができる」と言われている先輩でも、そのまま信用してはいけないと思っています。仕事ができることと、後輩を守ってくれることは、まったく別の話です。
キーマンは、たいてい「元・できなかった人」
一方で、1つ目のタイプはどうか。
この人たちは、自分ができないことも許容しています。「できないことがあって当たり前」「もちろん最善は尽くすけど、ミスもする。カバーしていけばいいよね」。そういう考え方をしている。
そして、優しい人が多い。理由は、はっきりしていると思います。その人自身が、苦労してきているからです。 苦労した分だけ人の2〜3倍努力して、改善して、行動してきた。だから今、仕事ができる。そして、できない人の気持ちが分かる。
僕の印象では、そもそも根っこが不器用な人が、すごく多いです。
しかもこのタイプは、可愛がられる才能があって、上の人にも好かれている。だから「こいつが言うことなら、まあしょうがない」となる。みんなが頼りにするんです。
だからこそ、この人に相談すると、上が動いてくれる。「じゃあこうしよう」と方針が決まって、それが下に展開されていく。一人の後輩の悩みが、グループ全体の話になるんです。
まだキーマンが見つからないときの、当面の守り方
ここからは、ブログだからこそ書き足しておきます。「見分け方は分かったけれど、うちの署にはまだ見当たらない」という場合の話です。
配属されたばかりなら、見つからなくて当然です。僕も分かるまでに2〜3年かかりました。その間をどう乗り切るか。
ひとつ目は、「できません」より「教えてください」で伝えること。同じ内容でも、前者は評価の話に聞こえ、後者は姿勢の話になります。告げ口をするタイプの先輩に対しても、後者なら悪く伝わりようがありません。
ふたつ目は、重い相談は、一度持ち帰ること。その場で言わなければいけない相談は、実はほとんどありません。一晩置いて、それでも言いたいなら、誰に言うかを選んでから動く。この一手間が効きます。
みっつ目は、「誰が誰の悪口を言っているか」を静かに見ておくこと。人の話を漏らす人は、必ずどこかで漏らしています。逆に、その場にいない人のことを悪く言わない先輩は、それだけで候補になります。
探そうとして見つかるものではありません。日々の雑談の中に、判断材料は必ず出てきます。
「お前、向いてないよ」と言ってくれた、たった一人の先輩
ここからは、僕自身の話をさせてください。
同い年で、すごく仲のよかった先輩がいました。その人は正直、立ち回りが上手なタイプではありませんでした。思ったことを直接言ってしまうし、空気が読めないところもあった。
でも、本筋には熱い気持ちがあることが、ちゃんと伝わる人でした。誰よりも努力するし、知識もあるし、教えるのもすごく上手い。仕事も率先して自分から取りに行く。
上の人からの評価は高かった。ただ、距離の近い中間層からは、あまり好かれていませんでした。近いからこそ、「空気が読めない」と思われてしまう。思ったことをはっきり言う、つまり素直だっただけなのに。
その先輩に、僕は「やっぱり自分は向いてないと思う」と相談しました。
返ってきた言葉が、これです。
「多分、向いてないと思うよ」
はっきり言われました。「ああ、やっぱりそう思ってたんだ」と思いました。そのあと、「実は俺も向いてないと思ってる。どう思う?」と聞かれて、僕も「そうっすね、向いてないと思います」と、はっきり言えたんです。
きれいごとで引き止める人と、本音で背中を押す人
転職を考えていることを、他の先輩にも話したことがあります。
すると、たいていは引き止められました。「お前は体が強いし、力もあるし、体力もあるから、消防に向いてるよ。辞めないほうがいい」と。
ありがたい言葉ではあります。でも、正直に言えば、きれいごとに聞こえました。
なぜなら、本質の部分では自分が向いていないことを、5年勤めた自分がいちばんよく分かっていたからです。5年も続けられたので、仕事は普通にできるようになっていたと思います。それでも、コミュニケーションの部分、不器用な部分、要領の悪さ。それが最後まで消えなかった。
その中で、あの先輩だけが唯一、本音で「お前、向いてないよ」と言ってくれた。
そして、転職を考えていると伝えたとき、こう言ってくれました。
「いいじゃない。自分で決めたことだし。人生、何が起こるか分からないし、今が一番若いんだから。今やりたいことをやるのが一番じゃないか」
あの言葉に背中を押されたから、僕は思い切って舵を切れたんだと思っています。本当に、助かりました。
まず一人、本音を言える人を見つけてください
キーマンというのは、グループのためにも動くけれど、それだけではありません。その人にとっての最善も、ちゃんと見つけてくれる人です。
だから僕は、よく相談していました。
いま人間関係で悩んでいる方がいたら、まずは探してみてください。口が軽くなくて、後輩のために動いてくれる人。その人に相談するだけで、立ち回り方を教えてもらえるし、うまくいくように動いてもくれます。
若いうちにその一人を見つけられるかどうかは、今後のキャリアにそのまま効いてきます。
結局のところ、組織で生きていくうえで、いちばん大きな比重を占めるのはコミュニケーションです。技術でも知識でもなく、そこだと思います。
どうか、頑張ってください。
新人が「誰に相談するか」も、順番の一つです
キーマンの見分け方は、2つだけ。そして、「仕事ができる先輩」を信用してはいけない理由。何から覚えて、誰に相談して、できない自分をどう扱うか。新人が生き残る順番を、有料の記事に一本にまとめました。
▼不器用なまま、消防士で生き残る(note・有料)
不器用なまま、消防士で生き残る。五年半かけて分かった「順番」
よくある質問
Q. キーマンは、どれくらいで見つかりますか?
A. 僕の場合は2〜3年目でようやく「この人に話せば動いてもらえる」と分かりました。ただ、雰囲気で早く気づける人もいます。焦って決めつけるより、日々の雑談の中で「誰が人の話を漏らさないか」を観察するほうが確実です。
Q. 直属の先輩を飛ばして相談するのは、失礼になりませんか?
A. 業務上の報告や指示系統は、当然そのまま守ってください。ここで言っているのは「本音の相談」を誰にするか、という話です。業務の筋を通したうえで、悩みは信頼できる人に持っていく。この2つは両立します。
Q. 仕事ができる先輩に相談するのが、一番いいのでは?
A. そうとは限りません。自分を追い込んでできるようになったタイプは、後輩にも同じことを求めてきますし、「あいつはできない」と周りに言いふらすこともあります。仕事ができることと、後輩を守ってくれることは別の話です。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
元消防士のトラックドライバー🧑🚒🚚


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