💡 この記事のポイント
- 機関員になるには、まず採用試験、次に隊員としての経験が要る
- 隊員として流量や圧力損失を把握できて、はじめて機関員を任される
- 機関員の責任は運転だけではない。ポンプ操作と、安全な帰署までが仕事
- 「機関員だけやりたい」は通らない。順繰りに回っていく世界
今回は「トラックドライバーができるなら、消防の機関員もできる」というメッセージについて、元消防士として本音で書いていきたいと思います。
僕は5年半、消防士として勤めたあと、今はトラックドライバーをしています。両方をやった人間として、この話は書けると思いました。
結論から書きます。これは、逆です。
「機関員ができるから、トラックドライバーができる」。この向きなら、僕は正しいと思います。
トラックドライバーができれば、消防の機関員もできる?|結論は逆
まず、トラックの運転は誰にでもできる仕事ではありません
前提として、これを書いておきたいです。
トラックの運転を、簡単な仕事だとは思っていません。理由ははっきりしています。大きいからです。
大きいということは、死角が多いということです。車幅の感覚がつかみにくく、距離感も取りづらい。それだけで事故を起こす確率が上がります。
だから僕は、トラックの運転は難しいと思っています。誰にでもできる仕事ではありません。
そのうえで、なぜ「逆」なのか
そのうえで、順番の話をします。
消防で機関員ができるということは、ポンプ車も救急車も運転できる状態だということです。
その状態なら、トラックの運転も習得できると思います。だから「機関員ができる人はトラックドライバーができる」は、成り立ちます。
でも、その逆は成り立ちません。トラックドライバーができるからといって、機関員ができるとは言えないんです。
理由を3つに分けて書きます。
消防の機関員になるには|越えなければいけない3つの段階
理由その1。まず、採用試験に受からないといけません
そもそもの話です。消防士になるには、消防の採用試験に受からなければいけません。
そしてこの試験は、ちゃんと対策をしないと受かりません。
判断推理があります。数的推理があります。自然科学のような理系科目もあります。
知識だけを詰め込めばいいという話ではなくて、ある程度の推論ができる状態が求められます。
もちろん努力で培われる部分は大きいです。ただ、これまで積み上げてきた学力や、論理立てて説明できる力、頭の回転。そういうものが多少なりとも必要になる。それが僕の持論です。
倍率も高いです。 どこの自治体も高くて、消防士は人気の職業です。休みが多く、社会的信用があり、給料もそこまで悪くない。人気があるのは当然だと思います。
つまり、機関員にたどり着く前に、まずこの入り口があります。
理由その2。入ってからも、まず「隊員」です
試験に受かったら、次は隊員です。
新人はポンプ車の後ろに乗ります。あるいは救急車の後ろに乗って、隊員として動きます。この隊員として動けるかどうかが、まず肝になります。
たとえば火災現場なら、自分が持っている筒先からどれだけの流量が出ているのかを把握していないといけません。
ホースを何本つないだのか。何メートル延ばしたのか。圧力損失はどれくらいか。今どれだけの流量が出ているのか。
こういうことを、初任科の消防ポンプの授業で習います。そしてそれを、無線で機関員とやり取りするんです。
「今この圧で、この流量で出しています」
そのやり取りが成立するのは、隊員側にも知識があるからです。
この隊員としての知識がある前提で、はじめて機関員をやります。 順番が逆になることはありません。
理由その3。機関員の責任は、運転だけではありません
そして機関員そのものの話です。機関員の仕事は、運転だけではありません。
ポンプの操作があります。現場に事故なく到着すること。救急車なら傷病者を安全に病院へ送り届けること。そして帰りも安全運転で、誰も怪我をすることなく帰署すること。 ここまでが機関員の能力です。
とくに救急の機関員は負荷が高いと思います。目の前に傷病者がいて、そのうえで運転技術も求められる。 車内で処置をしている隊員のことも考えて、揺らさずに走らないといけません。
ハンドル一つで背負う責任が、かなり重い役割です。
機関員手当がある本部もあります。ただ僕がいたのは田舎の消防だったので、そういう手当はありませんでした。隊員も機関員も一律で同じ給料です。
「機関員だけやりたい」は、通りません
ここも書いておきます。
機関員を目指したいと思っても、最初は隊員として1年、2年は必ずやります。
そこを飛ばして機関員だけをやる、ということは、おそらくどこの消防本部でもできません。順繰りに回っていく世界です。
大きな消防本部だと、機関員をメインに運用する形もあるとは聞きます。ただ僕は他の本部を知らないので、そこは断言できません。人づてに聞く限りでは、ある程度年数の経った中堅の方が機関員をやっている印象です。
機関員になるまでの、現実的な道のり
ここからは、ブログだからこそ書き足しておきます。ここまでの話を、時系列に並べ直してみます。
- 採用試験に合格する。教養試験(判断推理・数的推理・社会科学など)と面接。倍率は高め
- 消防学校(初任科)で基礎を学ぶ。ここで消防ポンプの授業があり、流量や圧力損失の考え方を習います
- 隊員として1〜2年。ポンプ車や救急車の後ろに乗り、筒先を持ち、無線で機関員とやり取りする側を経験する
- 機関員を任される。運転に加えてポンプ操作、そして安全な帰署まで
つまり、運転免許を持っているかどうかは、この道のりのどこにも出てきません。 大型免許があっても、この順番は飛ばせません。
逆に言えば、すでに機関員をやっている方は、この4段階を全部越えてきた人だということです。トラックドライバーへの転職を考えるなら、その経験はそのまま強みになります。運送業界は人手不足で、救急車やポンプ車を運転していた経歴は、そのまま評価されます。
消防車を運転するのに必要な免許|2017年以降の普通免許では足りない
ここは、検索で来てくださった方向けに補足しておきます。
順番は飛ばせないと書きましたが、運転する車両に合った免許が要るのは別の話です。
2017年3月12日に道路交通法が改正され、準中型免許ができました。それ以降に取った普通免許で運転できるのは、車両総重量3.5トン未満の車までです。
ポンプ車には3.5トン以上のものがあり、そういう車両を運転するには準中型以上の免許が必要です。消防庁も、改正後の普通免許しか持っていない消防団員が増えていることを課題に挙げています。
どの車両にどの免許が要るか、免許をいつ、どう取るかは、消防本部や車両によって違います。これから受ける方は、志望先の説明会などで確認してみてください。
トラックドライバーに転職した元機関員から見た「逆」の順番
逆に、トラックドライバー側はどうか
では反対側はどうか。
トラックドライバーの業界は、どこも人手不足です。大型に乗っていた経験があれば、免許一つで道が開けます。救急車やポンプ車を運転していたなら、なおさらです。
僕自身、転職活動をしてみて、合格をいただくことは何度もありました。その意味では、分かりやすい業界だと思います。
だからこそ、順番は「機関員 → トラックドライバー」なんです。
そもそも、この道を通る人が少ない
最後に、正直に思っていることを書きます。
そもそも消防をやっていて、トラックドライバーになる人はあまりいないと思います。
公務員という立場を捨ててまでトラックドライバーになる人が、どれくらいいるのか。書きながら、ふと疑問に思いました。
もし「今トラックドライバーをやっている元消防士です」という方がいたら、ぜひメッセージで教えてほしいです。純粋に話を聞いてみたいです。
最後に
あらためて答えます。
「トラックドライバーができるなら、機関員もできる」
僕は、逆だと思います。 機関員ができる人なら、トラックドライバーはできる。でもその逆は、採用試験と隊員の経験という順番がある以上、言えません。
どちらの仕事も、簡単ではありません。ただ、たどり着くまでの道のりの長さが違う。それが両方をやった僕の実感です。
よくある質問
Q. 消防の機関員は、どんな仕事ですか?
A. 消防車や救急車の運転に加えて、ポンプの操作を担当します。現場に事故なく到着すること、救急なら傷病者を揺らさず病院へ送り届けること、そして全員が無事に帰署することまでが役割です。運転だけの仕事ではありません。
Q. 大型免許があれば、機関員になれますか?
A. 免許の有無は関係ありません。まず採用試験に合格し、消防学校で基礎を学び、隊員として1〜2年経験してから機関員を任されます。この順番を飛ばすことは、おそらくどこの消防本部でもできません。
Q. 機関員だけを希望することはできますか?
A. できません。順繰りに回っていく世界です。大きな消防本部では機関員をメインに運用する形もあると聞きますが、僕は他の本部を知らないので断言はできません。志望先の運用は直接確認してください。
Q. 普通免許で消防車は運転できますか?
A. 2017年3月12日以降に取った普通免許で運転できるのは、車両総重量3.5トン未満の車までです。それ以上のポンプ車を運転するには、準中型以上の免許が必要です。どの車両にどの免許が要るかは本部や車両によって違うので、志望先で確認してください。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
元消防士のトラックドライバー🧑🚒🚚


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