💡 この記事でわかること
- 「睡眠は鍛えられる」という考え方に対する、元消防士の実感
- 連続した睡眠と、出動で細切れになった睡眠の決定的な違い
- 細切れ睡眠が続いたときに体に出ていた症状(動悸・息切れ・めまい)
- 分断睡眠について研究ではどう言われているか
- 睡眠研究の第一人者・柳沢正史教授のショートスリーパーに対する見解
今日は「睡眠は鍛えられるのか」というテーマで話していきたいと思います。
きっかけは、ショートスリーパーとして有名な堀大輔さんです。
一般社団法人日本ショートスリーパー育成協会の代表理事をされていて、ご自身も1日45分ほどの睡眠と、15分ほどの仮眠を組み合わせた生活を、15年以上続けているという方です。独自の短眠理論を作り、実際に受講生を育てている。
そして「睡眠は鍛えられる」という考え方を発信されています。
先に断っておきます。堀さんは「ショートスリープこそ正解だ」と言っているわけではありません。睡眠のあり方は人それぞれでいい、というスタンスです。そのうえで、短く眠れるようになれば時間を有意義に使える、とおっしゃっている。
その前提で、僕の意見を書きます。
元消防士としての僕の結論は、こうです。睡眠は、取れるだけ取った方がいい。
最初に言っておきます。これは、僕の体感の話です。 医者でも研究者でもない人間が言うことなので、叩かれても仕方がないと思っています。
ただ、今回この記事を書くにあたって調べてみたら、専門家の見解とも重なっていました。 そこも後半で紹介します。
消防士の仮眠はいつ切られるか分からない|当務中の睡眠の実態
なぜ僕がそう思うのか。消防の勤務を経験したからです。
当務中は、仮眠をとります。でも、いつ指令が入るかは、まったく分かりません。
寝ついた30分後かもしれない。1時間後かもしれない。そして出動して、1時間ほどで戻ってきて、また寝て、また指令が入る。
睡眠の質とか、そういう話ではないんです。強制的に、細切れにされるんです。
分断睡眠と連続睡眠の違い|合計6時間でも中身はまったく違う
ここが、いちばん言いたいところです。
たとえば、合計で6時間寝たとします。
- ぶっ通しで6時間
- 出動をはさみながら、細切れで合計6時間
この2つは、まったく別物です。
僕が働いていて感じたことは、これに尽きます。
短い睡眠を何回とっても、長い睡眠一発には敵いません。
体感ベースですが、これはもう間違いないと思っています。
4時間でも、ぶっ通しなら仕事になる
もっと分かりやすいのが、4時間の場合です。
4時間は、僕にとっては少ない睡眠です。それでも、ぶっ通しで4時間眠れたときは、肉体も精神もある程度は回復しています。
眠気はあるし、頭の働きも鈍い。でも、なんとか次の日の仕事にはなる。 生活も、多少は動けてしまう。
ところが、出動をはさんで細切れに4時間だと、これがまったく違います。
細切れ睡眠で体に出る症状|動悸・息切れ・めまい
細切れで寝た日の体は、こうでした。
- ずっと頭がフワフワする
- ちょっとした動作で息切れする
- 頭がまったく働かない
- 時によっては動悸がする
- めまいに近い症状が出ることもある
続けているうちに、慣れてはきます。でも、慣れることと、大丈夫であることは別です。
僕は、救急車での搬送の帰りに、自分の心拍数を測ってみたことがあります。
いつもより、明らかに速かった。
数値で見ると、良くない状態なんだということが、はっきり分かりました。
「睡眠は鍛えられる」は消防では通用しないと思う理由
ここからが、僕の本音です。
睡眠を鍛えたところで、消防の仕事では意味がないと思っています。
理屈は単純です。
体を動かしている時間と、脳が働いている時間が長ければ長いほど、疲れは溜まります。
ショートスリーパーになることで、時間が取れる。有意義に過ごせる。それはその通りだと思います。
でも、その有意義に過ごした分だけ、体には疲労が蓄積しているはずなんです。
いつもより多く動いているなら、本来はいつもより多く寝ないと回復しない。それなのに、短い睡眠でカバーしようとしている。
消防士としての経験から言うと、それはできないというのが僕の実感です。
消防士は、ある意味「睡眠を鍛えられている」側
もう一つ思うことがあります。
消防士は、夜中に何度も叩き起こされます。寝ている最中に負荷がかかり続ける。
つまり、普通の人よりも、睡眠が鍛えられている側の人間のはずなんです。
それでも、細切れの1時間、2時間では回復しませんでした。次の日は結局、寝て1日が潰れる。
だから僕は、睡眠は長ければ長いほどいいんじゃないかと思っています。
分断睡眠は研究でどう見られているか|夜勤の仮眠研究もあわせて
体感だけでは弱いので、少し調べてみました。
睡眠の研究では、効果を得るために大事なのは「十分に眠ること」「継続して眠ること」「深く眠ること」だとされています。
そして、分割した睡眠の8時間と、ひと続きの8時間を同じものとして考えることはできない、とする研究者もいます。
総量が同じでも、中身は違う。 僕が現場で感じていたことと、同じ方向の話でした。
ただし、正確を期すために書いておきます。夜勤の仮眠に限った研究では、逆の結果もあります。
広島大学の研究では、夜勤中の仮眠について、90分と30分に分けてとった方が、120分を1回でとるよりも、早朝の眠気や疲労感を抑えられたという結果が出ています。
つまり「夜勤の中でどう仮眠を割り振るか」という話では、分ける方が有利な場面もある。
それでも、1日の睡眠そのものを細切れにしていいという話ではないと、僕は受け取っています。
柳沢正史教授の見解|「短い睡眠時間でごまかす方法はない」
もう一人、名前を出させてください。
柳沢正史先生です。筑波大学の国際統合睡眠医科学研究機構の機構長で、睡眠と覚醒を切り替える物質「オレキシン」を発見した方です。ラスカー賞も受賞されている、世界的な睡眠研究の第一人者です。
その柳沢先生が、この論点についてはっきり言っています。
「人間の脳は、平均して7時間眠るようにできている。短い睡眠時間でごまかす方法はない」
短い睡眠で足りる本物のショートスリーパーは、確かに存在するそうです。ただしそれは遺伝的なもので、極めて稀。柳沢先生は「ショートスリーパーの99パーセント以上はニセモノ」という言い方までされています。
つまり「訓練で短時間睡眠になる」ことは、生物学的にできない、というのが専門家の見解です。
もう一つ、怖い話があります。
日本人を対象にした調査で、「自分は十分眠れている」と感じていた人の45パーセントが、実際には睡眠が足りていなかったそうです。これは「睡眠状態誤認」と呼ばれています。
足りていないことに、本人が気づけない。
これは僕の実感とも重なります。細切れの睡眠を続けていると、慣れてきてしまうんです。慣れた結果「大丈夫だ」と思ってしまう。でも心拍数を測れば、体は明らかに無理をしていた。
念のため補足しておきます。柳沢先生が警告されているのは、短時間睡眠をすすめる情報全般についてです。堀さんお一人に向けた発言ではありません。
適正な睡眠時間は人によって違う
最後に、これも書いておきます。
必要な睡眠時間は、人によって違います。 6時間の人も、8時間の人も、4時間の人も、3時間の人もいる。
6時間でパッと目が覚める。7時間でパッと起きられる。 それはすごく良いことだと思います。
逆に、8時間、9時間寝ても目覚めが悪いというのは、あまり良い状態ではないのかもしれません。
そこは、自分に合った時間を探すしかないと思います。
まとめ|消防士だった僕が「寝た方がいい」と言い切る理由
堀さんは今、1週間のチャレンジのような企画もされているようです。
ライブを拝見しました。正直に書くと、とても有意義に過ごせているようには、僕には見えませんでした。 疲れが見えてしまっているように感じたんです。
もちろん、これは僕がそう感じたというだけの話です。難しい挑戦をされているな、とも思いました。
そのうえで、消防士として5年半働いた人間として、これだけは言わせてください。
寝た方がいいです。睡眠は、短くしない方がいいです。
それは出動に関わります。当務中の体調にも関わります。そして何より、自分の体に関わります。
僕の話は、あくまで体感ベースです。それでも今回調べてみて、専門家の見解とも同じ方向だったことは、正直に言うと少しほっとしました。
よくある質問
Q. 訓練すればショートスリーパーになれますか?
A. 睡眠研究の第一人者である柳沢正史教授は、人間の脳は平均して7時間の睡眠を必要とする作りで、短い睡眠時間でごまかす方法はないとしています。短時間睡眠で足りる人は存在しますが、遺伝的なもので極めて稀だと説明されています。
Q. 合計の睡眠時間が同じなら、細切れでも問題ありませんか?
A. 同じとは考えられていません。睡眠は「十分に」「継続して」「深く」とることが大事だとされ、分割した8時間とひと続きの8時間を同じものとして扱うことはできないとする研究者もいます。元消防士としての実感も同じです。
Q. 睡眠不足は自分で気づけますか?
A. 気づけないことがあります。日本人を対象にした調査では、十分眠れていると感じていた人の45パーセントが実際には足りていなかったという結果が出ており、睡眠状態誤認と呼ばれています。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
元消防士のトラックドライバー🧑🚒🚚


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