消防士に向いてないと感じた理由。5年半で辞めた本当の決め手

転職体験談

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今回は「消防に向いていないと感じたきっかけ、そして辞めを決めた本当の理由」について、元消防士として本音で書いていきたいと思います。

僕は5年半、消防士として勤めたあと、今はトラックドライバーをしています。

先日、「向いていないと思ったきっかけを、もっと具体的に知りたい」という趣旨のメッセージをいただきました。以前「消防を辞めようと思った理由」を書いたのですが、その裏にある細かいエピソードまでは、話せていなかったなと思います。今回は、そこを正直に書いていきます。

最初のきっかけは「不器用さ」だった

一番はじめに「あれ、自分は向いていないんじゃないか」と感じたのは、単純に、自分が不器用だったからです。

同期に、救命士の子が一人いました。彼はとにかく器用で、何でもそつなくこなすタイプ。たとえば結索(ロープを結ぶ訓練)をやると、彼が一つ結び終わるあいだに、僕は一つの結索を1時間、2時間、ときには2〜3時間もやり続けている。そんなことがザラにありました。

その差を目の当たりにして、「あぁ、これは自分には向いていないのかもしれない」と、はっきり思ったのを覚えています。

思ったことを、言葉にできない

次に突きつけられたのが、思ったことを、その場で素直に口に出せないという壁でした。

消防の現場では、瞬時の判断力や頭の回転、的確な指示、そして「指示を仰ぐ力」がとても重要になります。隊長に指示を求めたり、無線でやりとりをしたり。無線には「簡潔明瞭に」という基本原則がありますが、僕はこれが本当に苦手でした。思ったことがパッと言葉にならないんです。

意見を求められても、意見が言えない。現場で何を確認すればいいのか分からない。指示のもらい方も、伝え方も分からない。そもそも「分からない」と言うことすら、言えなかった。

2〜3年やるうちに、ある程度はできるようになりました。でも、苦手意識だけは最後まで消えなかった。無線を握るときは、”できる自分”を無理やり憑依させるような感覚で、ハッタリをかまして自分を奮い立たせていました。

その代わり、言われたことを遂行する力は、人並みにはあったと思います。だから僕は、言われたことをきっちりやる。それに徹しました。変に気を利かせると余計なことをしてしまうと分かっていたので、あえて気を利かせすぎないようにしていたくらいです。

数年やっても、拭えなかったもの

正直、この不器用さや伝達の苦手さは、「年数を重ねれば、いつかは慣れるだろう」と思っていました。

でも、時間が経つほどに、どうしても拭えないものがあったんです。それが、人間関係でした。これが、僕が消防を辞める一番大きなきっかけになりました。

一番の決め手は「人間関係」だった

まず、陰口の多い雰囲気が、どうしても合いませんでした。

本人のいないところで悪口を言うのはもちろん、その相手と関わりのある自分がいる場でさえ、平気で悪口を言い続ける。そういう空気に、だんだん嫌気がさしていきました。

訓練についても、「お前はこのレベルだから、この訓練はやらせない」と言われることがありました。レベルに応じてできることは必ずあるはずですし、まったく触ったことのない機材ならまだしも、ある程度は扱えるものまで「お前はそのレベルじゃない」と外される。これも、じわじわと効いてきました。

先輩が受けた”ハラスメント”と、組織の対応

決定的だったのは、ハラスメントに対する組織の姿勢です。

詳しいことは、いろいろと差し障りがあるので書きません。ただ、身近な先輩がハラスメントを受けていて、しかもその証拠まであった。それでも、職員を守るべき組織が、しかるべき対応をしてくれなかったんです。

もちろん、加害した側にも家族や生活はあります。それでも、重い処分もなく、うやむやのまま。「この組織は、これから働く職員に対して、こういう対応をするのか」と、静かに絶望しました。

僕自身が直接受けたわけではありません。でも、その先輩と僕は、人としての特性がよく似ていたんです。だから、いつ自分に矛先が向いてもおかしくなかった。たまたま異動のタイミングで僕は逃れられましたが、その先輩はずっと受け続けていました。

一生懸命やっても、まったく報われない。自分では精一杯やっているつもりでも、上司はそれを認めず、いないところで悪口を言う。そしてそれが、自分の耳に届く。だんだん敏感になって、自分の一挙一動まで見張るようになっていきました。

本来、消防はチームワークで動く仕事です。できない人を、うまく引き上げてあげるのが上司の役割のはず。それなのに、圧をかけて威圧し、萎縮させる。これでは、動けるものも動けなくなってしまう。僕はそう感じていました。

気を使いたくない人に、気を使い続ける苦痛

もう一つ、決め手になった出来事があります。飲み会の席などで、「お前はこういうところが気を使えないからダメなんだ」と言われたことです。

その先輩は、いつも”イキって”いるような人でした。後輩には上から目線で、人をなめたような態度。自分に非があっても認めず、こちらのプライベートにまで口を出してくる。

尊敬できない、それどころか、こちらの気持ちを踏みにじってくるような相手に、なぜ気を使わなければいけないのか。「この先も長い消防人生で、ずっとこの人に気を使い続けるのか」と考えると、本当に苦痛でした。一緒にいるのも、話すのも、同じ空間にいるだけでしんどい。しかも、その人が飛び抜けて仕事ができるかというと、そういうわけでもなかったんです。

もし今、あなたがハラスメントを受けているなら

ここからは、ブログだからこそ書いておきたいことを付け加えます。当時の僕が知っておきたかったことです。

僕は、当事者ではなく、身近でそれを見ていた側の人間でした。だから「こうすれば解決する」と偉そうなことは言えません。ただ、あの一件を通して、これだけは強く思うようになりました。

一人で抱えたままにしないこと。そして、記録を残しておくこと。

いつ、どこで、誰に、何を言われたのか。それだけでもメモに残しておくと、あとで誰かに相談するときの土台になります。あの先輩のケースでも、証拠があったからこそ話が動きかけました(結果は納得のいくものではありませんでしたが、何も残っていなければ、話にすらならなかったと思います)。

相談先については、多くの自治体で人事課などにハラスメントの相談窓口が置かれています。加えて、勤務条件に関する苦情相談を、人事委員会や公平委員会が受け付けている自治体もあります。名称や窓口の置き方は自治体ごとに違うので、まずは所属の規程を一度確認してみてください。

そして、それでも環境が変わらないなら。その場所から離れることは、負けではありません。 ここから先が、僕自身が選んだ道の話です。

だから僕は、人間関係のない仕事を選んだ

こうして振り返ると、決め手はやっぱり人間関係でした。

「人間関係で悩むくらいなら、いっそ人間関係の少ない仕事に就こう」。そう思ったんです。不器用さや、コミュニケーション能力を強く求められない仕事がいい。そう考えたときに浮かんだのが、ドライバーでした。もともと運転が好きで、車も好きだったので、自然な選択でした。

正直、転職して1〜2年は、小さなミスをすると「会社のせいだ」「自分のせいじゃない」と、どこかで思ってしまう自分がいました。でも、ドライバーは基本的に一人でやる仕事。良くも悪くも、すべてが自分の責任です。この責任の所在がはっきりしている感覚が、今思えば、自分にはとても合っていました。

こればかりは、転職してみないと分からなかった。今は本当に満足しています。あのとき動いてよかったと、心から思っています。

人間関係で悩んでいる、あなたへ

どんな仕事でもそうかもしれませんが、人は結局、人間関係でつまずくことが多いのだと思います。

だからこそ、今まさに人間関係で悩んでいる人には、早めに転職を考えてみてほしい。転職”活動”そのものは、ノーリスクです。動いてみて初めて、自分に合う職種や職場が見えてくる。同じ業種でも、職場が変わるだけで、環境がまるで違うこともあります。

その上で、これだけは伝えたい。消防は、社会貢献という意味で、本当にすばらしい仕事です。目指している人には、ぜひ消防士になってほしい。つらいこと以上に、やりがいと、いいことが待っています。

ただ、もし今つらいのが人間関係なら、「本当に消防でなければいけないのか」を、一度だけ立ち止まって考えてみてほしいんです。消防で培ったスキルは、他の業種でも必ず生きます。

僕は、向いていないなりに、必死で努力しました。そこだけは、胸を張って言えます。だからこそ思うんです。人間関係以外のことで悩んでいるなら、まだまだ改善の余地はある。でも、環境そのものがつらいなら、逃げるのも、立派な選択です。

よくある質問

Q. 「向いていない」と思ってから、辞めるまでどれくらいかかりましたか?
A. 最初に「向いていないかも」と感じたのは1年目です。そこから辞めるまでは、5年半かかりました。不器用さや伝達の苦手さは、年数を重ねればいつか慣れると思っていたので、しばらくは自分の努力不足だと考えていました。決め手になったのは、努力ではどうにもならない人間関係の部分でした。

Q. 人間関係が理由で辞めるのは、逃げになりませんか?
A. ならないと思います。改善できる余地があるなら、まず動いてみるべきです。でも、組織の姿勢そのものが変わらないなら、個人の努力でどうにかできる話ではありません。環境を変えることは、立派な選択だと思っています。

Q. 辞めると決める前に、やっておいたほうがいいことはありますか?
A. まず「何がつらいのか」を書き出して、自分の言葉にしてみることです。人間関係なのか、勤務体系なのか、仕事内容そのものなのか。ここが整理できていないと、転職しても同じことで悩みます。あわせて、転職活動だけ先に始めておくのもおすすめです。動くこと自体にリスクはありません。

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