💡 この記事でわかること
- 消防士が出動ごとに作る報告書の種類と、書く内容
- 救急活動報告書ができあがるまでの流れ(現場→病院でサイン→打ち込み→印鑑)
- 差し戻しが当たり前という現場の文化
- 救急出動が年々増えていることを示す消防庁の最新統計
- それでも報告書が必要な理由
今回は「消防士がムカつく瞬間」というテーマで、元消防士として本音で書いていきたいと思います。
僕は5年半、消防士として勤めたあと、今はトラックドライバーをしています。
自分がムカついた瞬間もあれば、周りを見ていて「これはきついな」と思った瞬間もあります。今回はその1つ目、報告書の話を書きます。
消防士の報告書とは?4種類・書く内容・決裁の流れ
消防士は出動するたびに報告書を作る|4種類の報告書
知らない方もいると思うので、まずここからです。
消防士は、出動するたびに報告書を作ります。
火災報告書。火災活動報告書。救助活動報告書。救急活動報告書。
出動の種類ごとに、それぞれ作る必要があります。
そして、これがかなり面倒くさい。特に火災と救助の報告書は重いです。
報告書には何を書くのか|活動内容・資機材・バイタル
中身も書いておきます。
出動した車両ごとに、どう活動したか。 使った資機材の種類と数。現場の状況。通報者の情報と、現場で通報者から聞き取った内容。
救急なら、第一接触のときの状況。そこから時間ごとのバイタル。実施した処置。
そして、現場での出来事を時系列で書く欄があります。
一件でこれです。
救急活動報告書の流れ|現場・病院でのサイン・署での打ち込み
流れで書くと、こうなります。
まず、現場と搬送中に書きます。
病院に着いたら、それを医師に渡して、状況を見てもらい、サインをもらいます。
署に戻ったら、それをもとにパソコンへ打ち込みます。 統計を出すためのデータにもなるので、打ち込みは必須です。
打ち込んだら、印刷して出します。
ここからが長いです。
報告書の決裁は印鑑リレー|隊長から消防長まで
印刷した報告書に、印鑑をもらっていきます。
まず救急隊のリーダー。次に僕がいたところで言えば主査や主幹といった中間管理職。そこから副署長、署長。さらに消防長。
1枚の報告書が、これだけの人の手を通っていきます。
1日に10件出動したら、どうなるか。想像してみてください。とてつもない量です。
消防士の報告書が大変な理由|出動件数と事務作業
救急出動は年々増えている|消防庁の最新統計
「救急は右肩上がりで増えている」というのは現場の実感ですが、数字でも裏づけがあります。
消防庁が2026年一月に公表した「令和7年版 救急・救助の現況」によると、令和6年中の救急自動車による救急出動件数は771万8380件(前年比プラス1.0パーセント)、搬送人員は676万9172人(同プラス1.9パーセント)でした。
そして、この出動件数・搬送人員はいずれも、集計を開始した昭和38年以降で最多です。
・救急出動件数(救急自動車)=771万8,380件(令和6年中・過去最多)
・搬送人員=676万9,172人(同・過去最多)
・現場到着までの平均=約9.8分(令和元年と比べ約1.1分延伸)
・病院収容までの平均=約44.6分(令和元年と比べ約5.1分延伸)
出動が増えるということは、そのまま報告書が増えるということです。一件ごとに1枚作るわけですから、件数がそのまま事務量になります。
出典:総務省消防庁「令和7年版 救急・救助の現況」(2026年1月20日公表)
事務作業が多すぎて訓練の時間が取れない
報告書だけではありません。
関係機関との調整。他市との合同訓練の打ち合わせ。普通救命講習や上級救命講習の準備。そこに日々の業務が乗ります。地水利調査もあります。
そうなると、訓練なんてやっている暇がないという日が普通にあります。
だからみんな、少しでも早く報告書を仕上げて、時間を有効に使おうとするんです。
報告書の打ち込み中に鳴る出動指令|消防士がムカつく瞬間
ここが本題です。
報告書を打ち込んでいる、まさにその最中に指令が鳴る。
これが、本当にムカつく瞬間です。
しかも、そういう日に限って出動が続きます。
僕が覚えているのは、ある隊長の姿です。中間管理職の方で、現場でバリバリ動く人でした。
その日は出動が6件、7件と続いていました。6件目が終わって、やっと救急活動報告書に取りかかった、そのときです。
「救急指令、救急指令」
無慈悲に、また鳴りました。
隊長は机をバーンと叩いて、
「くそが!」
その一言を残して、また出動していきました。
あのときは驚きましたが、今なら分かります。疲れとイライラが限界まで重なったところに、あの音が来るんです。
救急活動報告書は誰が作るのか|本部ごとのローカルルール
ちなみに、救急活動報告書は隊のリーダーが作るのが基本だったと思います。
ただ、僕のところでは夜間に隊長が寝てしまった場合、受付の電話番をしている人に任せて、ある程度打ち込んでおいてもらう。そして朝に出して確認してもらう。そういうやり方もしていました。
「この救急の報告書は、お前が作って」と振られたこともあります。
このあたりはローカルルールだと思うので、本部によって違うと思います。
報告書の差し戻し|誤字脱字とニュアンス修正
報告書を仕上げて出す。そこで終わりではありません。
差し戻されます。
誤字脱字ならまだ分かります。直すべきです。
きついのは、ニュアンスの差し戻しです。
こだわりの強いリーダーや管理職に当たると、言い回しを直されます。
「いや、これでも伝わるじゃん」
そう思いながら直す。正直、イライラは100パーセントです。日本語として多少ツッコミどころがあっても、伝わればいいと思うんです。 これは僕個人の考えですが。
火災報告書・救助報告書が重い理由|件数が少ないぶん完璧を求められる
さらに重いのが、火災報告書と救助報告書です。
理由は、件数が少ないからです。
救急のように毎日たくさん出るものではないぶん、一件を完璧に仕上げないといけない、という空気があります。
だから差し戻しの回数も増えます。一度も直されずに通ったことは、僕には一度もありませんでした。
「修正があるのは当たり前だよね」
そういう文化でした。
直すのはいつも一番下の隊員|印鑑をもらい直す手間
そして、ここが一番こたえるところです。
差し戻されて直すのは、いつも一番下の人間です。
直したら、また印鑑をもらい直します。リーダーから、中間管理職、副署長、署長と、最初から全部です。
3人も4人も上にいて、全員が同じところを見ている。正直、一番上の方はノールックで押してくれてもいいのに、と思っていました。
もちろん、印鑑を押す側にも「ちゃんと確認したのか」と言われる立場があるのは分かります。だから丁寧に見る。それは理解しています。
ただ、下から見ると、しんどいものはしんどいです。
それでも報告書が必要な理由|公的文書としての記録
最後に、フェアに書いておきます。
報告書は公的な文書です。
万が一、訴訟のような話になったとき、どう活動したのかが明確に記録されていなければいけません。 そこが曖昧だと、隊員も組織も守れません。
だから、きちんと作る必要がある。それは間違いないと思っています。
ムカつくけれど、意味がないわけではない。そこは書いておきたかったところです。
報告書の運用も、消防本部ごとに違います
ここまで書いたのは、僕がいた一つの本部での話です。
誰が作るのか。印鑑が何人分必要なのか。差し戻しがどれくらい飛んでくるのか。本部が変われば、ここも変わります。
ただ、それは実名を出さないと意味のない話です。無料の記事で書けることではないので、有料の記事にまとめました。
元消防士として、実名で書いています。
▼受けるなら、ここだと思う5本部
愛知県で本当に受けるべき消防本部、元消防士が実名で5つ選びました
▼逆に、僕ならすすめない5本部
愛知県で受けない方がいい消防本部、元消防士が実名で5つ書きました
よくある質問
Q. 消防士の事務作業は、1日どれくらいありますか?
A. 出動件数によります。救急で10件近く出た日は、報告書だけで相当な時間を取られます。そこに関係機関との調整や講習の準備が重なるので、「訓練をやる時間がない」という日も普通にあります。
Q. パソコンが苦手でも大丈夫ですか?
A. 特別なスキルは必要ありませんが、打ち込みは毎回発生します。入力が速いほど自分の時間が増えるのは事実なので、苦手意識があるなら入る前に慣れておくと楽になります。
Q. 報告書の差し戻しは、どう受け止めればいいですか?
A. 誤字脱字や、意味が変わってしまう表現は直すべきです。一方でニュアンスの指摘は、上の人の好みによる部分もあります。僕は「そういう文化なんだ」と割り切って、直す時間をあらかじめ見込んでおくようにしていました。
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この記事は、note にも掲載しています。note版はこちら
最後まで読んでいただきありがとうございました。
元消防士のトラックドライバー🧑🚒🚚


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