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💡 この記事でわかること
- 地方の小さな消防本部の実際の倍率(採用予定2人に対して申込32人=16倍)
- 東京消防庁が公表している最新の倍率データ
- 合否を分ける一番の壁が教養試験である理由
- 採用試験の日程が重なる理由と、併願の考え方
- 「消防にコネはあるのか」という質問への、元消防士の本音
今回は「消防士採用試験の倍率と、教養試験という壁」というテーマで、元消防士として本音で書いていきたいと思います。
僕は5年半、消防士として勤めたあと、今はトラックドライバーをしています。
これから消防士を目指す方に向けて、当時の自分に言いたかったことも含めて書きます。
消防士採用試験の倍率はどれくらい?|地方の小さな本部は16倍だった
消防士が人気職業である理由|倍率が物語っていること
まず、ここは間違いないと思います。
倍率を見れば分かります。申込者の数に対して、合格者の数が圧倒的に少ない。 それだけ人気があるということです。
辞めた今だからこそ、客観的に見て思います。
消防車で出動していく姿、救急車で走っていく姿。命を運んでいるんだな、他人の命と財産を命がけで守っているんだな、と思います。単純に、かっこいいです。
そのうえで、給料もそこまで悪くない。休みも多い。人気が出るのは当然だと思います。
採用予定2人に32人|地方消防本部の倍率は16倍だった
僕が受けたのは、田舎の小さな消防本部でした。
そのときの採用予定人数は、2人です。
内訳は、一人が救命士を持っている人。もう一人が、救命士を持っていない一般の枠。そういう募集でした。
申し込んだ人数は、32人でした。
つまり32人中、2人。16倍です。そこを通ったわけですが、正直に書くと、運が良かったという気持ちの方が大きいです。
消防士採用試験の倍率は実際どれくらいか|東京消防庁の公表データ
僕の実感だけでは弱いので、公表されている数字も載せておきます。
東京消防庁が公表している令和8年度の消防官採用選考の結果(令和8年7月現在)は、次のとおりです。
| 区分 | 応募者数 | 最終合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 専門系 | 48 | 7 | 4.7 |
| Ⅰ類1回目(適性検査方式) | 966 | 131 | 5.5 |
| Ⅰ類1回目(教養試験方式) | 2,680 | 464 | 5.1 |
出典:東京消防庁「職員採用選考・試験結果」(令和8年度・速報値)
ここで注目してほしいのは、日本で一番受験者が多い東京消防庁でも5倍前後だということです。そして僕が受けた地方の本部は16倍でした。
採用人数が少ないところほど、倍率は跳ね上がります。 数百人採る本部と、2人しか採らない本部では、同じ「消防士採用試験」でも別物だと思っておいた方がいいです。
消防士になれるのは一握り|10人目指して一人か2人
これは僕の肌感覚なので、間違っていたらすみません。
でも、消防を目指している人が10人いたとして、実際に受かるのは一人か2人だと思っています。
残酷な話ですが、消防士になれるのは一握りです。
愛知県で受ける方へ。県内34本部の初任給と、判明している採用倍率は、こちらにまとめました。
▶ 愛知県の消防士 初任給ランキング34本部【2026年最新】|最高と最低で月12万円差、倍率も比較
どの消防本部を受けるかで、試験も、入ってからの環境も変わります。どこを受けるべきかは、実名を出さないと意味のない話なので、有料の記事にまとめました。
▼受けるなら、ここだと思う5本部
愛知県で本当に受けるべき消防本部、元消防士が実名で5つ選びました
▼逆に、僕ならすすめない5本部
愛知県で受けない方がいい消防本部、元消防士が実名で5つ書きました
消防士採用試験で一番の壁は教養試験
なぜそうなるのか。
教養試験があるからです。
ここが一番の肝で、勉強をあまりしてこなかった人にとっては、本当にきついと思います。
僕自身、勉強が得意なタイプではありませんでした。
中学時代の内申点は25から27のあたりをうろうろしていました。高校もそこまで偏差値の高いところではなくて、50くらい。普通に勉強すれば、学校の中では上の方に入れる、その程度です。
大学も、単位を取るのに必死で、なんとか卒業できたというレベルでした。
頭がいいと思ったことは一度もありません。
不器用で、要領が悪くて、頭の回転が遅い。そういう自分の性質と、勉強が得意ではなかったことは、たぶんつながっていると思っています。
そんな僕でも、教養試験の対策をして、なんとか受かりました。逆に言えば、対策をした人が受かる試験だとも思っています。
なぜ消防士の採用試験に教養試験があるのか
これは書きながら、あらためて考えたことです。
なんで教養試験をやる必要があるんだろう、と。
ある程度の地頭が必要なのは分かります。でも、地頭の良さが試験で分かるものなのか。勉強ができたからといって、稼げるわけでも、仕事ができるわけでもありません。
消防士として仕事ができるかどうかを、教養試験で見るというのは、正直よく分かりません。
ただ、「ある程度まともに勉強を頑張ってきたかどうか」を見るバロメーターとしてなら、分かる気がします。
そして現実として、ふるいにかけるためのものでもあると思います。ふるいがあるからこそ、本気で目指す人はきちんと対策をしてくる。そういう仕組みなんだと思います。
消防士採用試験の補欠合格について思うこと
これも書いておきます。
消防には補欠合格という枠があります。
不採用になること自体は、試験に合格しなかったのだから仕方がない。それは本当にそう思います。
ただ、期待させておいて落とすというやり方は、正直あまり好きではありません。
「合格の可能性があるじゃん」と思わせておいて、結局は入れなかった。そのパターンが一番きついと思います。
田舎の消防本部ほど倍率が高い理由と、試験日程が重なる理由
田舎の消防本部ほど倍率が高くなりやすい理由
意外に思われるかもしれませんが、田舎の消防本部ほど倍率は高くなりやすいと思っています。
理由は単純で、そもそも必要とする人数が少ないからです。
採用者数がものすごく少ないところに、「消防に受かればゴール」と考えている人が申し込むので、そこに殺到します。
消防の採用試験日程が重なる理由|併願できる数は限られる
これは、これから受験する方に知っておいてほしいことです。
消防の採用試験は、同じ日程で開催されることが多いです。
同じ日にすることで、受験者がばらけます。申し込みの重複が避けられて、一つのところに人が集中しすぎることを防げる。
逆に言うと、開催日が他と被らないところは、かなり倍率が高くなります。
だからこそ、日程が許すかぎり、受けられるところは多く受けた方がいいと思います。それが合格率を上げる一番現実的な方法です。
消防一本は賭け|民間と併願すべき理由
ここが、当時の自分に一番言いたいところです。
大学4年のときに、民間の内定はもらっていました。それを蹴って、消防を目指しました。浪人の1年は「消防一本」で、民間は受けていません。
いけるだろう、という感覚でやっていました。
今思えば、ものすごい賭けだったと思います。
受からなかったら、また来年も受けるのか。そう思いながらやっていました。予備校にも通っていて、期間も授業も決められていて、30万円ほどかかりました。親にねだって払ってもらったお金です。
だから、これから目指す方には、民間も並行して受けることをおすすめします。
面接をたくさん受けること自体が、面接の対策になります。消防の面接にもそのまま効きます。
そして何より、あの倍率を見る限り、受かる保証はどこにもありません。 7倍なら7人に一人、12倍なら12人に一人です。
なお、面接の場でわざわざ「併願しています」と言う必要はないと思います。消防一本のつもりで受けている、という姿勢で臨めばいいと思います。
消防士採用にコネはある?志望動機の解像度も大事
消防士採用にコネはあるのか|元消防士の本音
田舎の消防本部であればあるほど、コネのようなものは多少あると思っています。
職員の家族。職員が可愛がっている甥。採用担当の友人の息子。そういう「顔見知り」の枠が、まったくないとは思えません。小さいころから可愛がっていた子が受けにくる、というようなことが実際に起こる規模だからです。
そして、これは一方的に悪いこととも言い切れないと思っています。
親が消防士をやっている。親戚が消防士をやっている。そういう家庭で「消防士になりたい」と育った人が、面接で熱い思いを語る。その親や親戚が、その本部で信用を積んで働いてきた実績がある。
そうなると、「まともなことを教えられて育っている可能性が高い」と見られる。信用というのは、それくらい大きいものだと思います。
僕がいた本部は田舎でしたが、大きい消防本部ほど、こういう話はあまり聞きません。 規模が大きくなるほど、そこは薄まっていくんだと思います。
これは、あくまで僕が聞いてきた話と、僕の肌感覚です。断定はできません。ただ、どこの企業にもある話でもあります。
だからこそ、そういう現実もあると知ったうえで、受けられるところは多く受けた方がいいと思っています。
志望動機の解像度が低いと、入ってから続かない
僕が本当に後悔しているのは、実はここです。
当時の僕は、「なぜ消防でなければいけないのか」の解像度が、ものすごく低かった。
志望理由は「休みが多いから」でした。
休みの日は何をしよう、旅行に行こう。そんなことばかり考えていました。
1日働いて2日休む生活なので、休みのことを考える比重がどうしても高くなります。ということは、仕事に対する比重が必然的に低くなるんです。
日勤なら週に5回、会社に行きます。消防は週に2日ほどしか署に行きません。そのぶん1日は長いのですが、それでも署に来る回数は少ない。
そうなると、覚える時間も限られます。以前、「2年目なのに、いまだに覚えられません」というメッセージにお答えしましたが、あれも根っこは同じだと思っています。
そして2〜3年目のころには、仕事が楽しいという感覚が、僕には全くありませんでした。
先輩に怒られないように覚える。自分がやりたいから覚える、ではなくて。
確固たるものが、なかったんです。
今は、自分の得意で、腕一本で勝負している感覚があります。プライドを持って仕事ができています。消防のときにそれが全くなかったとは言いません。機関員は向いていると思えました。ただ、核になるものがなかった。
だから辞めたんだと、今は思っています。
他を見たうえで「やっぱり消防」と選べた人は強い
これから目指す方に伝えたいのは、これだけです。
他の会社も見たうえで「やっぱり消防だ」と思えたなら、その理由は確固たるものになります。
今は、大企業に限らず、中小企業にもいい会社がたくさんあります。僕自身、転職先を探していて本当にそう思いました。
そのうえで消防を選べたなら、その納得感が、入ってからのモチベーションになります。
僕にはそれがありませんでした。だから、なんとなく仕事をこなして、休みはしっかり休む。その繰り返しになってしまった。
まとめ|それでも消防士は目指す価値のある仕事
最後に、誤解のないように書いておきます。
消防士は、素晴らしい職業だと思います。目指す価値は十分にあります。
人を助けるという、直接的で究極の社会貢献をしながら、ある程度の給料をもらえて、休みも多い。それは間違いなく魅力です。
そのうえで、2つだけ考えてみてください。
その高い倍率に見合うだけの努力が、今できているか。
その倍率をかいくぐってまで、自分はここで何を実現したいのか。
この2つに答えを持って入った人は、たぶん僕より強いです。
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よくある質問
Q. 消防士の採用試験は、何か所くらい受けるべきですか?
A. 日程が許すかぎり多く受けた方がいいと思います。消防の採用試験は同じ日に重なることが多いため、そもそも併願できる数が限られます。だからこそ、日程が被らないところを事前に洗い出しておくことが大事です。
Q. 勉強が得意でなくても、消防士になれますか?
A. なれると思います。僕自身、中学の内申点は25から27、高校の偏差値も50くらいで、勉強が得意なタイプではありませんでした。それでも教養試験の対策をして合格しています。得意かどうかより、対策をしたかどうかの試験だと思っています。
Q. 民間企業も一緒に受けると、面接で不利になりませんか?
A. 面接の場でわざわざ「併願しています」と言う必要はないと思います。むしろ民間の面接を受けること自体が面接対策になりますし、他の会社を見たうえで「やっぱり消防だ」と思えた人の志望動機は強くなります。
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